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  1. 愛知県議会 2021-11-01
    令和3年11月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和3年11月定例会(第3号) 本文 2021-12-02 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 56 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 2 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 3 :  ◯四番(朝日将貴君選択 4 :  ◯農林基盤局長平田誠君) 選択 5 :  ◯建設局長道浦真君) 選択 6 :  ◯防災安全局長中川喜仁君) 選択 7 :  ◯福祉局長岡本範重君) 選択 8 :  ◯知事大村秀章君) 選択 9 :  ◯四番(朝日将貴君選択 10 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 11 :  ◯七十三番(谷口知美君) 選択 12 :  ◯保健医療局長吉田宏君) 選択 13 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 14 :  ◯警察本部長國枝治男君) 選択 15 :  ◯知事大村秀章君) 選択 16 :  ◯七十三番(谷口知美君) 選択 17 :  ◯四十番(丹羽洋章君) 選択 18 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 19 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 20 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 21 :  ◯四十三番(政木りか君) 選択 22 :  ◯都市・交通局長(森哲也君) 選択 23 :  ◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 24 :  ◯環境局長(岡田守人君) 選択 25 :  ◯知事大村秀章君) 選択 26 :  ◯四十三番(政木りか君) 選択 27 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 28 :  ◯八十九番(木藤俊郎君) 選択 29 :  ◯福祉局長岡本範重君) 選択 30 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 31 :  ◯保健医療局長吉田宏君) 選択 32 :  ◯感染症対策局長(杉原武君) 選択 33 :  ◯知事大村秀章君) 選択 34 :  ◯八十九番(木藤俊郎君) 選択 35 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 36 :  ◯十九番(朝倉浩一君) 選択 37 :  ◯教育長長谷川洋君) 選択 38 :  ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 選択 39 :  ◯知事大村秀章君) 選択 40 :  ◯十九番(朝倉浩一君) 選択 41 :  ◯四十一番(南部文宏君) 選択 42 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 43 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 44 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 45 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 46 :  ◯農業水産局長(中根俊樹君) 選択 47 :  ◯福祉局長岡本範重君) 選択 48 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 49 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 50 :  ◯十七番(鳴海やすひろ君) 選択 51 :  ◯都市・交通局長(森哲也君) 選択 52 :  ◯防災安全局長中川喜仁君) 選択 53 :  ◯感染症対策局長(杉原武君) 選択 54 :  ◯四十番(丹羽洋章君) 選択 55 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 56 :  ◯議長坂田憲治君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長坂田憲治君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百九十七号議案令和三年度       愛知県一般会計補正予算から第二百三十五号議       案当せん金付証票の発売額についてまで 2: ◯議長坂田憲治君) 第百九十七号議案令和三年度愛知県一般会計補正予算から第二百三十五号議案当せん金付証票の発売額についてまでを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  朝日将貴議員。     〔四番朝日将貴君登壇〕(拍手) 3: ◯四番(朝日将貴君) おはようございます。トップバッターを務めます自民党、朝日将貴でございます。よろしくお願いいたします。  質問に入る前に、弥富市内の中学校で起きた刺殺事件で亡くなられた被害者に心から御冥福をお祈りいたします。また、スクールカウンセラーを早速手配いただいたことに心から感謝申し上げ、今後は同級生を中心に、生徒、そして教職員を含め関係者への引き続きの御配慮と再発防止にも努めていただきますようよろしくお願いいたします。  それでは、まず初めに、農業農村整備事業の推進について伺ってまいります。  本県における農業は、愛知用水、豊川用水、木曽川用水などの大規模用水の建設により飛躍的に発展してきました。また、これらの大規模用水は、農業以外にも工業や水道に供給されており、受益地に多くの恩恵をもたらしています。  こうした大規模用水は、主に国営事業や独立行政法人水資源機構営事業で整備されており、現在も老朽化対策や耐震対策など、施設の更新整備が順次進められております。  このうち、水資源機構が管理し、尾張東部から知多半島に農業用水を供給している愛知用水は、昭和三十六年に通水を開始し、約二十年が経過した昭和五十六年から愛知用水二期事業が実施され、幹線水路と支線水路の改修工事が平成十六年度に完了しております。  また、東三河地域に農業用水を供給している豊川用水は、昭和四十三年に通水を開始し、約三十年が経過した平成十一年度から豊川用水二期事業により、幹線水路と支線水路などの改修工事が現在まで実施されております。中でも、支線水路に使われている石綿セメント管の除去については喫緊の課題として実施され、平成二十七年度に対策を終えております。  ここで、私が住む海部地域の木曽川用水の成り立ちについてお話をさせていただきます。
     この地域の農業用水は、昔から木曽川や地区内の河川に依存しておりましたが、木曽川の河床低下に加え、戦後の高度経済成長期に地盤沈下が急速に進行し、受益地で塩害が発生するなどの問題が生じたことから、抜本的な対策が地域住民の悲願でありました。  農業用水の安定取水を図るべく、昭和三十七年に設立された木曽川下流総合開発促進期成同盟会の会長を今は亡き吉川博先生が務められ、木曽川用水の国営事業化や総合利水とする水資源開発公団営事業への承継などに奔走されました。  こうしたことにより、河川から取水口を一か所に合口する木曽川大堰の建設や、幹線水路、支線水路などの整備が図られ、昭和五十二年の通水開始後、本地域は県内有数の穀倉地帯に発展しました。  木曽川用水の通水から約二十年が経過した平成八年度から、地盤沈下の進行により通水断面が不足した幹線水路の機能を回復する緊急改築事業が実施されましたが、支線水路は改修されることなく築造後五十年近くが経過しております。  このため、支線水路の老朽化や地盤沈下に伴う漏水事故が多発するとともに、支線水路には石綿セメント管が多用されていることから、その除去対策を行う必要が生じておりました。  しかしながら、水資源機構営事業により改修を行う適当な事業制度がなかったため、農家をはじめとする関係者は農業用水の安定供給を懸念しておりました。  こうした中、水資源機構から支線水路の管理を担っている海部土地改良区の理事長、我が党の中野治美県議が財務省や農林水産省に掛け合い、何度も何度も関係者に要望を重ねた結果、事業制度が拡充され、支線水路が改修可能となり、先頃示された国の令和四年度概算要求において、木曽川用水濃尾第二施設の着手要求がなされたと聞き及んでおります。  一方で、支線水路の改修は、三千ヘクタールに及ぶ広域な受益地を抱えていることや、農家に責任を課すことができない地盤沈下対策に加え、石綿セメント管の除去対策を実施することから、農家の費用負担について危惧しております。  そこでお尋ねいたします。  国の令和四年度概算要求において、水資源機構営木曽川用水濃尾第二施設改築の着手要求がなされましたが、その整備内容と農家負担の軽減についてお伺いいたします。  続きまして、用水の対策も喫緊の課題でありますが、海部地域は日本最大のゼロメートル以下地域であり、農業用排水機場がこの地域の排水を担う重要な施設となっておりますので、排水にも目を向けたいと思います。  今年は、日本史上最大の内陸直下型地震とされる濃尾地震から百三十年目の節目の年であります。岐阜県のホームページによりますと、一八九一年(明治二十四年)十月二十八日に岐阜県の根尾谷、現在の本巣市を震源として発生したこの地震はマグニチュード八・〇を記録し、死者は七千人を超え、全壊家屋は十四万二千戸に及んだとのことです。  さらに、濃尾地震は、十月二十八日から三十一日までの四日間で余震が七百二十回も続いたそうで、この地震により生じた上下六メートルにも及ぶ断層は根尾谷断層として世界的にも有名でありますが、実は、この地震により海部地域が一気に二十センチ近く沈んだことはあまり知られていません。  また、近年、毎年のように豪雨災害に見舞われており、他県では、排水機場の故障により排水ができず浸水した事例も発生しております。幸い本県では、東海豪雨以降大きな災害は起きておりませんが、排水機場の更新や地震・豪雨対策といったハード対策に終わりはございません。  国は、河川管理者が行う治水対策に加え、氾濫域も含めて一つの流域として捉え、流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体で水害を軽減させる流域治水への転換を進めております。  海部地域では、早くから農業農村整備事業により排水機場を整備し、降雨が予想される際には事前に排水を行うなど、農地だけでなく地域全体の排水を担ってまいりました。これは、言わば流域治水の先駆けと言える取組なのではないでしょうか。  私の地元では、小学四年生の社会科の授業で農業用排水機場の現地学習会が行われ、農地のみならず、住んでいる地域の生活や経済を浸水被害から守る大変重要な施設であることを学んでおります。そして、見学の際には排水機場トランプが補助教材として配られ、これが子供たちに結構人気があるそうです。  農家の子供は、親や祖父母から水の歴史や排水機場のありがたさを教わっていますが、市街地に住まわれている子供や親は、ゼロメートル地帯の排水がどのように行われているのかを知らずに暮らしている方も多いのが現実です。大人も含めいろいろな人が見学し理解を深めるとともに、排水機場の操作をされている方の苦労も知っていただきたいと思います。  農業用排水機場のみならず、安全・安心な暮らしに不可欠な整備を行う農業農村整備事業は、農家だけではなく地域全体に大きく寄与する事業を幾つも展開しております。世代を超えて持続的に健全な生活を送るため、農地や農業水利施設が有する公益的機能について、もっと広く県民に理解していただく必要があると私は考えております。  そこでお尋ねします。  農業農村整備事業で整備された農地や農業水利施設が有する公益的機能の理解促進にどう取り組んでいるのか、お伺いをいたします。  次に、ゼロメートル以下地域の防災ハード対策について伺ってまいります。  近年、温暖化による風水害の激甚化や南海トラフ地震の発生に備えた防災・減災対策の強化が喫緊の課題であります。  令和三年版防災白書によれば、令和元年東日本台風や令和二年七月豪雨など、全国各地で風水害が激甚化、頻発化しており、また、気候変動の影響により、二十一世紀末には全国平均で降雨量が一・一倍、洪水発生頻度が二倍になるとの試算も発表されております。  記憶に新しい災害で例を挙げれば、昨年、九州地方を襲った令和二年七月豪雨では、球磨川の氾濫などにより、熊本県では死者六十五名を数え、一昨年の台風十九号による千曲川の堤防決壊では千三百六十ヘクタールが浸水するなど、大河川での相次ぐ災害は日光川をはじめ多くの河川を抱える海部地域にとって決して人ごとではなく、私を含め住民の危機意識はますます高まっております。  こうしたことから、我が国最大のゼロメートル地帯が広がる海部地域におけるハード、ソフトが一体となった総合的な防災対策への取組が急がれるところであります。  そこで、救出、救助や浸水域からの避難など様々な防災対策を実施する上でも、まずはハード対策にしっかりと取り組んでいただくことが重要であり、今後、ソフト対策へも生かしていただくため、本日は、海部地域で進められているハード対策のうち、河川事業、道路事業及び広域防災活動拠点整備事業について順次伺います。  初めに、河川事業として日光川流域の防災対策についてお尋ねします。  近年、気候変動の影響により全国各地で豪雨災害が多発していることを踏まえ、本年四月には気候変動を踏まえた治水計画の在り方の提言の改訂が公表され、気候変動の影響を踏まえた治水計画への見直し、治水対策のさらなる強化について示されたところであります。  近年では、毎年のように全国各地で観測史上一位を更新する規模の豪雨が発生しており、いつどこでそのような豪雨に見舞われてもおかしくない状況です。  これまで経験したことがないような豪雨に対しては、命を守るためのソフト対策が重要となっていますが、適切に避難行動を取る前提として、やはりハード対策は欠かせないものであり、これまで以上に迅速かつ柔軟に整備を進めることが喫緊の課題となっています。  このような状況を受け、国では、二〇一八年から防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策により緊急的な対策を講じ、さらに二〇二〇年十二月には、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策が閣議決定され、昨年度の補正予算から重点的、集中的に対策が進められています。  私の地元である日光川流域は広大なゼロメートル地帯を抱えており、一たび災害に見舞われれば甚大な被害を免れないため、生命、財産を守ためにはハード対策が不可欠な地域であります。その要となる施設のうち、新日光川水閘門は二〇一八年に完成いたしました。  気候変動に対する盤石な水防災を実現するには、次のステップとして、同じく横井五六県議を中心として国への要望活動を行っております日光川排水機場の増設の検討が進むことを大いに期待いたします。その効果を確実に発揮するためにも、まずは流域の河川堤防等の整備を迅速かつ着実に進めていく必要があると考えます。  そこでお尋ねします。  日光川流域における防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の河川事業の成果と、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策などを活用した今後の整備についてお伺いをいたします。  次に、道路事業についてお尋ねします。  本年五月に名古屋環状二号線の尾張西部地域を南北に縦断する名古屋西ジャンクションから飛島ジャンクションの区間が開通し、ついに名二環が環状道路としてつながりました。交通利便性の向上はもちろんのこと、第一次緊急輸送道路のネットワークがより強固になったことは、ゼロメートル地帯を抱える尾張西部地域にとって大変ありがたいことであります。  さらに、日光川右岸堤には河川防災ステーションと日光川流域市町を結ぶ防災道路の整備が進められており、ゼロメートル地帯における防災対策が一歩一歩着実に進められていると実感しています。  このように、緊急時に機能する幹線道路が着々と整備されていますが、道路ネットワークとして見ると、東西方向には、東名阪自動車道や伊勢湾岸自動車道、国道一号や二十三号といった広域道路ネットワークが形成されていますが、南北方向には、開通したばかりの名二環や西尾張中央道程度しか軸となり得る路線が見当たりません。  そうしたことから、現在、国で調査中の高規格道路となる一宮西港道路の早期実現はもちろんのこと、併せて、石塚吾歩路県議が平成二十七年二月議会で、高速道路を一時避難場所として活用することの有効性や必要性について発言されており、道路建設と同時にそうした活用を私も期待しております。  さらに、せっかく整備された広域道路による緊急輸送道路ネットワークから、地域住民へのラストワンマイルを提供する南北軸の整備が求められているところであります。  こうした中、稲沢市を起点とし、国道二十三号などと接続しながら伊勢湾岸自動車道に至る都市計画道路名古屋第三環状線には大きな期待が寄せられています。  名古屋第三環状線については、現在、弥富市北部では、国道一号の南側の都市計画道路日光大橋西線から筏川までの約〇・五キロメートルの区間については街路事業として事業着手されており、用地買収を進めているところと聞いており、また、弥富市南部では、伊勢湾岸自動車道弥富木曽岬インターチェンジから北へ国道二十三号に向かって整備が進められているところであり、平成二十三年五月に開通した鍋田工区につながる区間では大規模な盛土工事などが展開されています。当該区間の早期完成はもとより、国道二十三号から北側への事業展開にも大いに期待しております。  そこでお尋ねします。  弥富市南部の名古屋第三環状線の整備状況と今後の取組方針をお伺いいたします。  続いて、広域防災活動拠点の整備についてお尋ねします。  二〇一四年度に県が公表した東海地震・東南海地震・南海地震等被害予測調査において、木曽三川下流域、西三河南部、東三河南部のゼロメートル地帯では、巨大地震の発生に伴う河川・海岸堤防の破堤や津波により浸水してしまうと長期間にわたって水が引かないことから、既存の防災活動拠点も長時間にわたって浸水し、救出・救助活動に支障を来すおそれが明らかとなりました。  こうした状況を踏まえ、迅速かつ効率的に救出・救助活動を展開するために、浸水対策を備えた広域防災活動拠点を木曽三川下流域に二か所、西三河南部地域、東三河南部地域にそれぞれ一か所、県内に計四か所を確保することとなりました。  この拠点は、ゼロメートル地帯の広範囲が浸水した際、逃げ遅れて取り残された方々を小型ヘリやボートによりこの拠点に集約し、大型ヘリで浸水地域外へ輸送する救出・救助活動の最前線拠点となるものであります。  まず、木曽三川下流域の一か所目の拠点として、二〇一五年度に愛西市の旧永和荘跡地が選定され、一昨年の二〇一九年度から工事が進められており、県内初となる広域防災活動拠点の完成が待たれているところです。  その後、二〇一八年度には、西三河南部地域について、西尾市行用町での整備が決定された後、昨年度には、私の地元である弥富市の海南こどもの国が木曽三川下流域の二か所目の拠点として選定されており、標高の高い場所が少ない海部地域南部の住民の一人として、この広域防災活動拠点には非常に大きな期待を持ってこの完成を心待ちにしているところです。  そこでお尋ねいたします。  木曽三川下流域で進められている愛西市及び弥富市の広域防災活動拠点整備の進捗状況と、完成後はこの拠点を使ってどのように周辺住民の命を守っていくのか、伺います。  最後に、少子化対策における結婚支援について質問いたします。  本年六月議会において、中村竜彦議員が同様の質問をされました。  質問後の要望の中で印象に残った言葉は、いつの時代も変わらず若者の九割が結婚を望んでいるのに、現代は四分の一の男性、七分の一の女性が生涯未婚というのは深刻な社会問題だと感じますという発言でした。私も同感であります。  少子化という社会問題を解決する直接的に効果のある事業には大きな二つの柱があるのだと思います。その一つは金銭的支援、そして、もう一つは結婚支援だと考えております。その柱の一つである結婚支援について、本県にさらに尽力いただきたいという思いで伺ってまいります。  厚生労働省の人口動態統計によると、令和二年の出生数は八十四万八百三十五人であり、前年の八十六万五千二百三十九人より二万四千四百四人減少し、過去最少との公表がなされました。出生数の減少に対する危機感が高まり、少子化対策に待ったなしで取り組む必要があると言えます。  少子化の主な要因は未婚化、晩婚化であり、特に若い世代での未婚率の上昇や初婚年齢の上昇の影響が大きいと言われております。  こうした中、日本の社会保障給付費を見ると、国立社会保障・人口問題研究所の二〇一九年度社会保障費用統計の政策分野別社会支出では保健が最も大きく、総額に占める割合は四一・五%、次に高齢が三七・九%を占めているのに対し、児童手当や育児・介護休業給付などを含む家族に占める割合は七・六%にとどまっています。  この家族関係社会支出の対GDP比を比べてみますと、スウェーデンが三・四%、イギリスが三・二四%であるところ、日本は一・五六%にとどまり、単純比較はできないものの、日本は家族政策全体の財政的な規模が小さいと言えます。  また、国立社会保障・人口問題研究所の第十五回出生動向基本調査二〇一五年によると、理想の子供の数は二・三二人であるのに対し、予定の子供数は二・〇一人となっております。理想の子供を持たない理由として、三十から三十四歳の世代の約八割が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと答えています。この〇・三%のマイナスは、もう一人にチャレンジできていないことを示すのだと思います。  さらに、総務省の就業構造基本調査では、二〇一七年の所得分布を一九九七年と比べると、二十歳代で百五十万円未満の雇用者の割合が増加、三十歳代では百万円から四百万円未満の雇用者が増加しており、若い世代の所得分布は低所得者層にシフトしていることが分かります。  これらのことから、金銭面での支援が少子化対策の大きな柱だと言えます。若い世代が経済的な理由により結婚や出産を諦めることがないよう、望めば安心して結婚し、子供を産み育てられる国を目指す必要があると感じます。  一方、少子化対策先進国であるフランスなどヨーロッパ諸国では、事実婚制度の導入により、結婚を伴わない出産、いわゆる婚外子の割合が多いのですが、日本では、統計的に見ても、結婚してから出産するというステップを踏むことが一般的であり、婚外子が極めて少ない国であります。別の言い方をすれば、結婚ができれば子供は生まれてくる傾向の国だということです。このことから、未婚化対策、つまり、結婚支援が日本版少子化対策のもう一つの大きな柱であると言えます。  そもそも若者の大半は結婚したくないと思っているのかというと、そうではありません。国立社会保障・人口問題研究所の第十五回出生動向基本調査二〇一五年によると、いずれは結婚しようと考えている未婚者の割合は、十八歳から三十四歳の男性では八五・七%、同女性では八九・三%となっており、男女ともに九割程度が結婚したいと考えております。  また、未婚者(二十五歳から三十四歳)に独身でいる理由を尋ねると、男女ともに適当な相手に巡り会わないが最も多く、男性が四五・三%、女性が五一・二%と約半数を占めています。  こうした若い世代の結婚の希望をかなえるため、特に結婚したくても結婚できない人、ここに焦点を絞って支援することが肝であると考えます。官民挙げての支援を期待いたします。  本県の結婚支援に関わる令和三年度の予算は、市町村への補助を除き、県が直接行う事業としては、あいこんナビ運営費として三十万円、結婚応援セミナーの開催に百万円、計百三十万円が計上されておりますが、少子化対策を加速させるため、さらなる支援をお願いしたいと思います。  この質問をするに当たって、私がお会いした各種婚活サービス、ライフデザインサービスを手がける株式会社IBJ東海支社長の森宏樹さんのお話では、少子化対策は、官民一体となって盛り上げていくことが重要であり、双方それぞれの立場でできることをしていき、時には連携していくために共有する時間があればいいと思います、また、結婚相談所に登録する方、特に女性は登録に戸惑う方が多く、その多くは金額ではなく、結婚相談所に対して不安を抱いているからです、どんな人が登録されているんだろう、本当に結婚できるのか、それに周りに知られると恥ずかしいと思う人が少なからずいるとのことです。  毎年、たくさんの結婚カップルが結婚相談所から生まれており、その情報を世間が知れば、そういった不安や恥ずかしいと思う人は減っていきます、そのために、県が積極的に結婚相談所の正しい情報や認知度が上がるための後方支援をしてくだされば、愛知県のみならず日本全体の少子化に寄与できると確信しておりますと伺っております。  そこでお尋ねいたします。  少子化対策における県としての役割の認識と、これまで行ってきたあいこんナビを含めた結婚支援の今後の取組についてお伺いいたします。  以上で壇上の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯農林基盤局長平田誠君) 国の令和四年度概算要求において着手要求された木曽川用水濃尾第二施設改築の整備内容と農家負担の軽減についてお答えいたします。  独立行政法人水資源機構では、来年度から二〇三六年度までの十五年間で支線水路約六十四キロメートルを取り替えるとともに、用水を末端の農地までポンプで送水する揚水機場二十二か所の改築を行うこととしております。  支線水路では、議員お示しのとおり、老朽化や地盤沈下に伴う漏水工事が多発していることに加え、石綿セメント管が多用されております。このため、安全性はもちろんのこと、耐久性を有し、かつ地盤沈下によるたわみにも対応するダクタイル鋳鉄管や硬質塩化ビニル管にて改築することとしております。  また、揚水機場では、地盤沈下により場内の配管にずれが生じているとともに、老朽化した電気機械設備の突発的な故障も発生しておりますので、揚水機場の建て替えやポンプ設備の更新などを行うこととしております。  これらの改築に係る総事業費は、三百五十億円が見込まれており、国、県、市町村並びに地元農家で負担をすることになります。  県といたしましては、地盤沈下などの要因を踏まえて農家負担の軽減を図り、地域の皆様の長年の悲願である木曽川用水濃尾第二施設改築が着手決定され、この事業が着実に推進されるよう取り組んでまいります。  次に、農地や農業水利施設の公益的機能に関する県民の皆様への理解促進についてお答えいたします。  議員お示しのとおり、農業用排水機場などの農業水利施設は、農地だけでなく宅地や公共施設を浸水被害から守る役割に加え、自然環境の保全や水源の涵養といった公益的機能を有しており、地域にとって極めて重要な施設であると考えております。  県では、こうしたことを広く県民の皆様に知っていただくため、小学生を対象とした排水機場の現地学習会を開催しており、ふだんは入ることのできない排水機場の中で、施設の構造や地域に果たす役割を学習するとともに、目の前で排水ポンプを運転することで施設の排水能力を直接体感できる企画も取り入れております。  また、あいちの農業用水展などのイベントや小学校への出前授業の際には、愛知県全域の衛星写真に大規模用水の流れを示した大型のラバーマットやタペストリーを活用しております。  さらに、ユーチューブによる動画の配信、そろいのポロシャツを着た要請活動、工事現場における目的や施設の役割を示したポスターの掲示など、若い職員の感性を生かしたPR活動に取り組んでおります。  こうした取組は、大変注目を集めるとともに、農業農村整備に関する全国団体から広報大賞優秀賞を受賞するなど、高い評価をいただいております。  県といたしましては、農業水利施設のハード整備に併せ、農地や農業水利施設が発揮する公益的機能について、様々な機会を捉えて県民の皆様へPRすることで、より一層の理解促進に努めてまいります。  それから、すみません、先ほど老朽化や地盤沈下に伴う漏水事故が多発していることに加えと言うところを漏水工事と申し上げました。訂正いたします。失礼いたしました。 5: ◯建設局長道浦真君) ゼロメートル以下地域の防災ハード対策のうち、初めに、日光川流域における防災対策についてであります。  まず、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の成果についてでありますが、二〇一八年に実施した緊急点検の結果を踏まえ、特に氾濫の危険性があり、速やかに対応が必要な区間について集中的に対策を実施いたしました。  具体的には、日光川、領内川及び蟹江川において、背後地が低く、家屋が近接している区間の堤防補強を約六・七キロメートル実施するとともに、日光川の堤防の耐震化を約〇・九キロメートル実施いたしました。  また、領内川等において流水を阻害するおそれのある樹木を約三・五キロメートル伐採するなど、治水安全度の向上を図りました。  次に、今後の整備につきましては、本県が二〇一一年に作成した、おおむね三十年間の具体的な工事内容などを定めた日光川水系河川整備計画に基づき、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策等を活用し、重点的、集中的に進めてまいります。  治水対策としては、河川断面を確保するため、下流部において河床掘削を行うとともに、中流部において津島市や蟹江町内の日光川、あま市内の福田川、蟹江川の堤防整備を加速してまいります。  地震・津波対策としては、蟹江町内などの日光川や弥富市内の善太川において、堤防の耐震化を進め、第三次あいち地震対策アクションプランに位置づけた区間の完了を目指してまいります。あわせて、日光川排水機場や蟹江川水門などについて、長寿命化計画に基づき適切に施設の修繕や更新を行い、機能の維持に努めてまいります。  今後とも、県民の皆様の生命、財産を守るため、事前防災対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、弥富市南部の都市計画道路名古屋第三環状線についてであります。  弥富市南部における名古屋第三環状線については、二〇一一年度に完成した鍋田工区から国道二十三号までの約一・四キロメートル区間を中原・境工区として整備を進めております。この区間の用地取得率は九割を超え、現在、盛土などの道路築造工事を進めております。  当地域の地盤は、地震で液状化のおそれがある砂質土層と地盤沈下が想定される粘性土層で構成される軟弱な地盤であります。そのため、液状化対策として盛土を安定させる地盤改良工事を、地盤沈下対策として事前に沈下を促進させるプレロード工事を順次実施しております。
     今後も、沈下の収束状況を確認しながら工事を進め、早期開通に向け事業進捗を図ってまいります。  また、国道二十三号から北側については、まずは県道大藤永和停車場線と交差する間崎交差点までの約一・三キロメートル区間を整備することとし、現在、道路設計を実施しております。  この区間は、鍋田川の廃川敷用地を活用でき、事業用地が確保できていることから、早期に工事着手できるよう、公安委員会や国道二十三号を管理する国土交通省などの関係機関と協議を進めてまいります。  今後とも、名古屋第三環状線をはじめとした緊急輸送道路の整備にしっかりと取り組んでまいります。 6: ◯防災安全局長中川喜仁君) ゼロメートル地帯の広域防災活動拠点の整備についてお答えします。  南海トラフ地震が発生し、海岸や河川の堤防が被災した場合には、地震発生直後から浸水が始まることが想定され、周辺住民は十分な避難行動が取れず、浸水区域に取り残されるおそれがあります。防災関係機関がこうした方々を迅速に救出し、安全な場所に搬送するための拠点を県内四か所に確保することとしております。  まず、愛西市で整備中の拠点については、これまでに盛土工事が完了し、現在、ヘリポートなどの工事を行っております。  今後は、救助用資機材を保管し、拠点の指揮所や救助者の一時待機場所を併せ持つ防災倉庫の建築工事に着手し、来年九月の供用を目指して整備を進めてまいります。  次に、弥富市に計画している拠点については、今年度これまでに現地での測量やボーリング調査を行い、現在、拠点の規模やヘリポートの位置などについて、自衛隊等防災関係機関と検討を進めるほか、平常時の使い方などについても、海南こどもの国を所管する福祉局と調整を行ってまいります。  また、これらの拠点の供用に併せ、ボートやヘリコプターによる救助者の受入れや、大型ヘリコプターを用いた浸水区域外への搬送を県や市町村、消防、自衛隊等が迅速かつ的確に実施するため、各機関の役割や活動内容などを定めた運用マニュアルを作成しております。  完成後には、拠点を活用した訓練や啓発活動により、運用の実効性を高めるとともに、地域住民の防災意識の向上にもつなげてまいりたいと考えております。  地域の皆様の命を守るため、ゼロメートル地帯の広域防災活動拠点の整備推進と防災体制の強化にしっかりと取り組んでまいります。 7: ◯福祉局長岡本範重君) 少子化対策における県としての役割の認識についてお答えします。  少子化の流れに歯止めをかけ、次代を担う子供を安心して産み育てることができる社会を実現するため、県といたしましては、若者の就学、就職、結婚、妊娠、出産、子育て期までのライフステージに応じた切れ目のない支援により、社会全体で子供、子育て家庭を応援する環境づくりに取り組んでいく必要があると認識しております。  そこで、本県では、昨年三月にあいちはぐみんプラン二〇二〇─二〇二四を策定し、県民の皆様をはじめ、市町村や企業、NPO等と協働して、就労支援による若者の生活基盤の確保や出会いの場の提供による結婚支援、仕事と育児を両立するワーク・ライフ・バランスの推進、病児保育や延長保育など多様な保育サービスの充実等に取り組んでおります。  次に、あいこんナビを含めた結婚支援の今後の取組についてお答えします。  本県では、婚活ポータルサイト、あいこんナビを二〇一五年度から開設し、婚活イベントを主催する団体を出会い応援団、従業員の結婚支援に積極的な企業等を婚活協力団体として登録いただき、より多くの出会いの場を提供できるよう取り組んでおります。  今年十一月末現在、出会い応援団に九十二団体、婚活協力団体に百二十二団体の登録をいただいており、二〇一五年度から今年九月末までの間に出会い応援団が企画した三千九百六十三回の婚活イベントに五万九千九百八十三人が参加し、七千二百六十二組のカップルが成立しています。  今後は、あいこんナビに婚活初心者向けに掲載している婚活たしなみ講座の内容を充実し、利用者の増加を図るほか、本県の結婚支援の取組を拡充するため、若者の婚活の現状や課題、行政に期待する支援の内容について、婚活イベントを実施するNPOや企業、市町村担当者等とも意見交換をしてまいります。  また、企業や県民の皆様を対象に結婚支援についての理解を一層深め、積極的に取り組んでいただくとともに、婚活協力団体等の登録数の拡大を図るため、結婚支援の必要性をテーマとした結婚応援セミナーを引き続き開催してまいります。  県といたしましては、こうした取組を着実に推進し、今後とも市町村や企業等と連携を図りながら、希望する人が結婚できるようしっかりと支援してまいります。 8: ◯知事大村秀章君) 朝日将貴議員の質問のうち、私からも、木曽川用水濃尾第二施設改築の農家負担の軽減についてお答えをいたします。  本県におきましては、愛知用水、豊川用水、木曽川用水などの大規模用水が私たちの生活と産業に計り知れない恩恵をもたらしております。中でも木曽川用水地域は、その昔、降れば洪水、照れば干ばつと言われるなど、水との闘いを繰り返してきましたが、木曽川用水の完成により新しい歴史の幕開けとなりました。  しかしながら、濃尾第二施設は、現在、老朽化や地盤沈下の影響により通水機能に支障を来しているため、抜本的な施設改築が必要となり、国の二〇二二年度予算に概算要求されたところであります。  この改築に係る費用のうち、地元農家の負担につきましては、支線水路の改築が地盤沈下対策であることに加え、農家に責任を課すことができない石綿セメント管を除去するという本地域特有の事情を勘案いたしまして、地元農家には費用負担を求めないことといたしました。  木曽川用水濃尾第二施設改築をはじめ、中部地方最大の農業県である本県の農業を支える生産基盤の整備や、地域の安全・安心を守る防災対策などの農業農村整備事業を着実に推進してまいります。 9: ◯四番(朝日将貴君) ただいま水資源機構が行う木曽川用水濃尾第二施設改築について、当局の答弁に加え、大村知事より、地元農家に費用負担を求めないとの大変心強いお言葉をいただきました。感謝しております。  木曽川用水には、水資源機構施設のほかに、海部土地改良区をはじめ、地元の土地改良区が管理する支線水路と末端水路がございます。こうした土地改良施設にも石綿セメント管が多用されており、老朽化や地盤沈下による漏水事故が発生しております。  特に、海部土地改良区が管理する支線水路は広域な受益地を抱えており、水資源機構と一体的に県営事業にて実施する必要があります。こちらにつきましても、二〇二二年度の事業着手と地元農家の負担軽減をよろしくお願いいたします。  また、支線水路から分岐し農地に水を送る末端水路は約七百キロメートルにも及びます。このうち、既に事業化された延長は約半分の三百五十キロメートルであります。残る末端水路につきましても、早期に事業化していただけるようお願いいたしまして、私の質問を終わります。 10: ◯議長坂田憲治君) 進行いたします。  谷口知美議員。     〔七十三番谷口知美君登壇〕(拍手) 11: ◯七十三番(谷口知美君) それでは、通告に従い順次質問してまいります。  まず、人権教育としての性教育の推進についてです。  私はこれまで、体や心に大きな傷を残す性虐待、性暴力について、ワンストップでの相談体制や性教育などの充実を求めてきました。  国では、今年度初めて、性暴力防止に向けた教育や啓発を行う教材を作成しましたが、私は今回、人権教育としての性教育について質問をいたします。  改めて性という字を見ると、心を表すりっしんべんと生きるという字で成り立っていることからも、性教育とは、心を大切にする教育であり、一人一人がかけがえのない存在として生きていくための人権尊重の教育と考えます。  十一月、NHKで、「命のバトン~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~」という愛知方式による特別養子縁組を取り上げたドキュメンタリードラマが放送されました。思いがけない妊娠をして悩む高校生が児童相談所職員や養育里親のサポートの下、赤ちゃんへの責任に気づき、つらいながらも赤ちゃんの幸せを願って特別養子縁組に託す決断をするドラマです。  この愛知方式による本県での特別養子縁組は、コロナ禍の時期を除き、ここ数年は毎年十三から十五組あると聞きました。私が想定していた数よりも多く驚きましたが、この制度が始まって、普通養子縁組から特別養子縁組に切替えがあった数年間を除くと、件数は全国的にも増えています。  愛知方式を担当する現場の方から、望まない妊娠をした方や自ら養育できない方への思いとして、彼らに必要だと思うことを伺いました。  三点にまとめると、一点目は家族や学校などに相談できること、二点目は行政としての支援、そして、三点目は、結果に対する支援以上に、特に若年層の方には、学校教育等において適切な性教育を受けることで予防的な知識を得ることや、子を産み育てることの社会的責任を学ぶこと、そして、自分が希望する将来展望を描くことがとても重要であるとのことでした。  性被害だけでなく、合意の上での思いがけない妊娠、若過ぎる妊娠もあります。児童相談所の方の指摘にもあるように、子を産み育てることの社会的な責任なども含めた幅広い性教育を行っていくことは、生まれてくる子供の命や人生を守ることになります。  愛知県の保健所では、以前は保健師が母子保健に携わり、性教育を行っていたそうですが、法の改正で、直接的には市町村が母子保健を担うことになりました。  しかし、県のはぐみんプラン、男女共同参画プラン、子ども・若者育成計画には性教育の記載があり、県の立場での取組が期待されます。  私は、平成三十年に愛知県警主催の女性安全フォーラムに参加しました。女性の性犯罪被害をなくす目的のものですが、講師のヘルスプロモーション推進センター代表の岩室紳也先生は、インターネットからの誤った情報で誤った行動をしてしまう男の子たちへの性教育の必要性も語られました。  今は、小さい子でもスマホやタブレットで性的な画像をすぐに見ることができてしまい、保護者の方も心配しています。海外よりも性教育が遅れていると言われている日本では、性的な情報は、多くはインターネットから得ているという調査もあります。性的な刺激のための商業的映像を見て、男性が女性を支配的、暴力的に扱う映像からそれが普通だと学べば、それは女性の人権をないがしろにするDVや性犯罪につながります。  性教育については、三歳くらいから始めることが大事だと言われています。口や水着で隠れるところをプライベートゾーンとして教え、自分の大切なところだから、遊びでもほかの人に触らせないこと、仲のよい人でも触らせてと言ってきたら、ちゃんと嫌と言う、ほかの人のプライベートゾーンも大切にするという人権感覚を育む基礎としての教育となります。  ここで、保健医療局に質問をします。  県では、母子保健での性教育や男性への性教育をどのように行っているのか、近年の実績と課題を伺います。また、性教育の必要性をどのように考えて、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。  さて、これまで私は、教育・スポーツ委員会でも性教育について質問し、指導や学習のための環境整備を求めてきました。  文部科学省では、学校における性に関する指導について、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動を取れるようにすることを目的に、体育科や保健体育科、特別活動をはじめ、学校教育活動全体を通じて指導することとしています。  また、指導に当たっては、児童生徒の発達段階、学校全体の共通理解、保護者や地域の理解、集団指導か個別指導かの区別をし、計画性を持って実施することが大切としています。  委員会で本県の取組について質問した際には、学習指導要領にのっとった指導を進め、数年前までは国の事業で学校に医師等を派遣していたので、その内容をホームページに載せているとのことでした。  しかしながら、現在、性暴力を防ぐことと相まって、性教育の必要性が広く言われるようになってきています。人権教育としても学校での教育が必要であることについて、二点述べます。  まず、世界の動きについてです。  日本より性教育が進み、若過ぎる妊娠を減らす成果を挙げている海外での性教育については、その指導の指針となっているのが国際セクシュアリティ教育ガイダンスです。  この国際セクシュアリティ教育ガイダンス──以降、ガイダンスと言いますが──は、一九九〇年代後半から人権をめぐる国際的動向を受けて包括的な性教育が提案され、二〇〇九年にユネスコが中心となって開発したものです。二〇一八年には、科学的根拠に基づいたアプローチと副題がついた改訂版が出されています。  国際的に性教育、性の学習を保障することは、セクシュアル・ライツ、性の権利の重要な一部となっていることに加え、世界的に感染が増えている梅毒やHIVについて知る必要があること、また、近年は、インターネットを介して氾濫する誤った性情報が多様な性の在り方を迫害したり、いじめにつながったり、また、ポルノなどで女性を差別的に扱ったりする人権問題となっています。  こうした背景から、ガイダンスでは、単に体のことを教えるのではない包括的性教育の指針が構築されています。さきに述べた児童相談所の方の話にあった、相談、支援、予防的知識、社会的責任なども学べるように、年齢ごとに四つのレベルで学習目標が示され、自分と人を大切にできるよう、コミュニケーションの取り方のスキルを学ぶことなども示されています。  もちろん生殖のこともガイダンスには入っています。生殖についての学習目標には、レベル一、五歳から八歳で赤ちゃんがどこから来るかを説明する。レベル二、九歳から十二歳では、どのように妊娠するのか、どのように妊娠を避けることができるのか説明する。基本的な避妊方法について確認するなどとなっています。  内容的に早過ぎるのではないかと思われる方もいらっしゃると思いますが、これが自分の人生を幸せなものとするために科学的に必要とされている世界基準です。  プライベートゾーンの話も先ほどしましたが、なぜプライベートゾーンを大切にしなければならないのかという理由が適切に教えられれば、リスクの面からだけでなく命の貴さを知る教育にもなります。  日本では、学習指導要領の歯止め規定として、性交については取り扱わないとなっていますが、歯止め規定についての法的根拠はなく、学習指導要領についても各学校で教育課程を編成する際の基準であります。  海外では、国ごとに研究を重ね、科学や生物の授業で扱ったり、保護者の理解を得る努力をしたりしながら、人が健康に、安全に、幸せに生きるため、人権尊重のために必要なこととして取り組んでいます。  次に、性教育についてのアンケートを基に必要性を述べます。  まず、学校での性教育の取組状況について、県下の小中学校の教員に聞きました。  約三分の一の学校で、適切な講師がいる、適切な教材がある、努めて教材研究を行っているなどの理由で比較的しっかりと性教育を進めているようでした。しかし、あまり取り組めていない学校は、適切な教材や講師の不足、教材研究の時間の確保や保護者への説明の問題、教師側が触れたがらないなどの理由となっていました。  性教育の必要性の質問に対しては、「子供たちが自分の命の大切さに気づいたり、自分を見詰める機会になったりするので、自己肯定感が低い今の子供たちには必要」「性教育に対する大人の偏見があるように感じる。外部講師などで性教育を充実させる必要がある」「幼児期からインターネットの動画サイトを見ていて誤った情報にも触れているため、早期からの性教育の必要性を感じる」「子供任せになっている家庭もあり、早期の妊娠で貧困の連鎖につながっている家庭もある」などの記載がありました。  やるべきことが多くて性教育まで時間が取れないという面もあるようですが、外部講師などの教育環境があるかどうかは大きいようです。  性教育に熱心な産婦人科医の方たちは、正しい知識に触れてもらおうと講師として学校に出向いたり、ユーチューブでの発信に取り組んでいます。また、そうした取組をしている産婦人科医の先生に学校の先生が性教育を行うことについて伺うと、内容によっては第三者のほうが客観的に教えたり、生徒が相談しやすかったりするとのアドバイスをいただきました。  若い世代の意識も知りたく、この夏、新政あいち県議団員の下にインターンとして来ていた大学生にアンケートに協力してもらいました。  小中高それぞれで学習指導要領にのっとった授業を受けた覚えはあるようですが、特段の記憶はないとの回答が多い中、高校で体育の先生が僕たちに真剣にちゃんと具体的な内容で踏み込んで話し、僕たちに議論をさせてくれたのがとても印象に残っていますという記述がありました。人の生き方について考える性教育が生徒の琴線に触れたと思います。  性教育の必要性についての質問に対し、女子学生からは、「私のような成人間近な大人でも、子供がどのようにできるか知らない人がいることを知ったときには驚いた」「正しく性交について教えた上で、避妊について教えるべき」との意見。男子学生からは、「性に興味を持ち始める時期に避妊やピルなど本格的な性教育指導をしたほうがよいのでは。特に男性に」「性に関する教育は男女の関係を築く上でプラスになる」「大人になるに当たって、知らないでは済まない問題」などの意見がありました。  教員、学生ともにアンケートには性教育という言葉が示す範囲を示していませんでしたが、包括的性教育や人権教育としての性教育が必要だと考えていることを感じました。  県の立場としては、学習指導要領と歯止め規定を重く扱っていますが、目の前の子供たちと子供たちの未来のための指導の工夫を支援するのが役割ではないかと考えます。  もちろん、デリケートな内容においては十分な配慮が必要ですし、だからこそ指導技術が重要です。県がまず、性教育について人権の観点で意識を高め、現代社会の課題に即した性に関する教育を進めることができるよう、教育環境整備を進めるべきだと考えます。  ドキュメンタリードラマ「命のバトン」では、ドラマ内に女子学生が赤ちゃんを遺棄した事件のニュースを見る場面があり、新人職員が疑問を呈します。今さらこの子を責めて何になるんでしょうか。先輩職員は、私たちがまず救いたかったのは赤ちゃんと福祉の立場を明確にしながら、正しい情報を知らなかった女子学生に思いを寄せます。新人職員がつぶやきます。赤ちゃん縁組のことを教えてあげたかった。  赤ちゃんを遺棄した女子学生は世間から責められ、自分を責めて生きていくことになりますが、しっかりした性教育や情報を伝えられなかった大人の責任も問われると感じました。  性虐待を受け、ぼろぼろな状態になった女の子を診た産婦人科医からも思いを伺いました。「パートナーとの対等な関係性について学ぶ機会があったら、この子の人生はどう変わっていただろうか。適切な避妊方法や性感染症の知識があったら、もっと自分の存在を大切なものと考えていいんだと思えていたのではないでしょうか。性教育は単に性を学ぶ勉強ではなくて、自分の存在を大切なものと考え、安心・安全に生活することができるように学ぶことだと思います」と伝えてくださいました。人権教育として包括的性教育の必要性です。  ここで教育委員会に質問します。  まず、人権の視点から性教育についてどのように考えているのか、県の認識を伺います。  次に、子供たちの人生のために包括的性教育を充実させることが必要だと考えますが、教員研修や講師の派遣、教材の開発や情報の収集や提供など、包括的性教育の推進のための教育環境の整備について、今後の取組を伺います。  次の項目に移ります。入試制度改革に伴っての県立高校の魅力発信についてです。  県立高校は、少子化、定員割れが大きな課題であり、その課題への対応を背景に、入試制度改革、県立高校の再編整備を図るとともに、高校の魅力化が図られています。  先日発表された令和五年度入試からの新しい制度も、県立高校のニーズに対応することを一つの目的に日程が決まったと認識していますが、中学校現場からは、冬休み明け、高校受験に向けた生徒への丁寧な指導や準備のための日程の余裕のなさや、三学期を義務教育のまとめとして学習や行事で充実させたいとの考えから、今回の変更については厳しい声も聞いています。  県立高校の存続は、特に高校が少ない地域にとっては子供たちへの影響は大きく、地域社会の活性化のためにも必要です。より多く地域の子供たちが地域の学校を選びたいと思えるよう、県としては、県立高校施設の老朽化の課題への対応とともに、県立高校の生徒の学びと活動のサポートを進めていかなければなりません。  魅力化については、昨日、我が団の日比政調会長も質問されましたが、学科の変更や全日制単位制の導入などとともに、各学校が地域性を生かしながら特色を出すべく取組を進めていると聞いています。  生徒の活動としても、例えば愛知商業高校の企業と連携した商品開発などは新聞などで目にすることがありますが、具体的な活動の様子までは分かりにくいのが実情です。  私立の学校の場合、愛知県体育館で一堂に会して学校を紹介する私立学校展が開催されていて、参加者からは、具体的な話を聞けたことや目的の学校以外の情報も知ることができ、選択の幅が広がったので、参加してよかったと聞いています。  公立の学校関係では、豊田市の主催でコロナ禍前までは県立高校など地域の公立学校の多くが豊田市スカイホールに集い、中学生の進路の選択の参考となるようなイベントが開催されていたそうです。各学校のブースが設置されるとともに、各学校からのステージ発表の時間もあり、盛り上がったということです。  また、類似の取組は、高校の自主的な催しとして地域で開催するところが出てきたと聞いています。しかしながら、県立高校の魅力化とその発信は県としての課題です。県立高校の魅力を中学生や保護者、地域の方々に伝わるように県が体制を組んで行うべきではないでしょうか。  また、入試改革により特色選抜が導入されますが、中学生の立場からしても、どのような特色のある高校なのか、どのような特色を持つ生徒を学校側が望んでいるのか、生徒自身の特色を生かすことができる魅力のある高校であるのかなど、高校側からの発信が中学生の進路を考えるに当たっても重要です。  そこで質問します。  入試制度改革に伴い、中学生が進路選択において県立高校の情報をより得やすくできるよう、多くの高校が集い魅力を発信する場を県主催でつくることについての考えと、今後の県立高校の魅力発信についての県の取組を伺います。  最後の項目は、警察署の建て替えについてです。  これまでの議会でも何度も取り上げられてきたように、警察署の老朽化は大きな課題であります。築四十年以上の警察署が五三%と聞いています。  ただ、近年は、災害対策における警察署の重要性などを鑑み、平成三十年度以降は毎年新しい警察署が供用開始されることとなっており、この流れはぜひとも続けていただきたいと考えます。  私の地元の昭和警察署は、昭和四十二年二月に建設され、経年としては五十四年。昭和警察署より経年が長い署については、県農林水産事務所の一階にある設楽警察署を除くと、全て建て替えの予定が進んでいます。  昭和警察署の建物は、阪神・淡路大震災を契機に耐震化は施されているものの、利用された地元の方から、狭いところで仕事をしてみえて、警察署の方がかわいそうという声や、渡り廊下を通り、急な階段を上って免許返納の窓口まで行かなければならないことから、バリアフリーにしてほしい等々の建物に関する声をいただいています。
     近年の警察署の建て替えの流れに乗せて、ぜひ建て替えを進めていただきたいものですが、これまで計画が進められてきた他の警察署でも建て替えの際の敷地の問題は大きかったと聞いています。  昭和警察署は、川名南城というお城の跡地であることから、地元の方にも警察署としてふさわしい立地であるとの認識がされていますが、高低差があることや、三階建ての建物と駐車場で占められ、余裕のある敷地ではないことから、現在の敷地内での建て替えは難しい状態です。  そこで必要となるのが、仮設警察署のための代替地か代替の建物、もしくは移転のための土地の確保です。  来るべき建て替えの日のために、昭和警察署の署長をはじめ署員の方々も情報の収集に当たってみえ、私自身も可能性がありそうな物件についての検討を求めてきましたが、現状、土地や建物の当ては見つかっていないようです。  昭和区については、近年、民間のビルや住宅の建て替えも多く見られ、今後ますます建て替えに必要な土地等を得ることが難しくなることが想定されます。活用できる適切な土地や建物を確保するためには、早期に建て替えの決断をすることが重要です。  また、防災公園である川名公園があり、名古屋第二赤十字病院には日赤愛知災害管理センター棟ができるなど、災害への取組が進んでいる地域でもあります。そうした地域で警察署の機能が災害時でも十分に発揮される建物となるよう、建て替えに向けて質問をいたします。  まず、昭和警察署は、具体的に建て替えの検討に入ってくるべき警察署であるとの認識でよいか伺います。  次に、土地や建物の確保についての課題について、県警として、これまで名古屋市や国、民間からの情報収集や検討などを進めてきた経緯と昭和警察署の建て替えに向けた取組について伺います。  以上、明確な答弁を期待して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 12: ◯保健医療局長吉田宏君) 母子保健での性教育や男性への性教育の実績と課題についてでございます。  母子保健における性教育では、第二次性徴による身体や心の変化への対応、思春期における痩せや貧血の問題、安心・安全な妊娠、出産のための妊よう性などを正しく理解することが重要でございます。  また、男性への性教育では、男性は自分自身のことだけではなく、女性の特徴も十分理解し、互いを大切にし、思いやりのある行動を取れるよう、正しい知識をしっかり身につける必要がございます。  県では、愛知県助産師会へ委託し、ライフステージに応じた健康教室に助産師を講師として派遣しておりまして、昨年度は、県内の小中学校におきまして十回、延べ六百七十四人の生徒に実施いたしました。  また、安心・安全な妊娠、出産に関する知識、例えば妊よう性などについては、普及啓発用リーフレットやDVD、指導者向けの手引書を作成いたしまして、市町村や高校、大学等に配布しており、この啓発資料を活用いたしまして、昨年度、県保健所で十七か所の高校生、大学生等延べ六百八十八人に対し健康教育を実施いたしました。この健康教育では、男女の生殖機能の特徴や男性不妊についても学ぶことができ、男性の性教育にも寄与しております。  県といたしましては、若い世代への性教育を進めるに当たり、市町村や教育関係機関など多方面にわたる一層の連携や効果的な情報発信が課題であると考えております。  次に、今後の性教育の取組についてでございます。  県では、これからの時代を担う若い世代が将来より健康で健やかな家庭が築けるよう、安心・安全な妊娠、出産に関する知識や男性への性教育も含め、性に関する正しい知識の普及啓発にしっかり取り組んでいく必要があると考えております。  そこで、市町村職員や保健医療関係者、教育関係者など性教育に関わる方の資質の向上のため、健康教育の推進に必要な知識や技術を習得できる母子保健指導者研修会を今後も開催してまいります。あわせて、健康教育の取組が市町村や教育関係機関等に一層拡大するよう、各種会議を通じましてしっかり働きかけを行ってまいります。  さらに、県では、新たに性に関する正しい知識を分かりやすく提供するウェブページを作成してまいります。また、この情報を必要とする多くの方に見ていただけますよう、例えば三歳児健診等に来られた保護者への周知を市町村に広く呼びかけるとともに、県のSNSを通じ、若い世代が気軽に情報を閲覧できるよう情報発信してまいります。  今後とも、これらの取組を着実に実施し、性教育を含めた母子保健対策の充実に取り組んでまいります。 13: ◯教育長長谷川洋君) 人権の視点を踏まえた性教育についてお答えいたします。  本年二月に策定したあいちの教育ビジョン二〇二五では、かけがえのない生命や自分らしさ、多様な人々の存在を尊重する豊かな人間性を育むことをあいちの教育の基本理念と位置づけております。具体的には、性に関することを含め、児童生徒の人権や多様性への理解を自らの問題として考え、判断力や実践力を身につけることを目指しております。  学校における性に関する指導につきましては、体育科、保健体育科などの関連する教科や特別活動において、発達段階を踏まえ、性に関する知識を確実に身につけること、生命の尊重や自己及び他者の個性の尊重など、人権の視点を基本にした指導を行うことが重要であると考えております。  また、文部科学省作成の生きる力を育む保健教育の手引におきましても、近年、性情報の氾濫など、児童生徒を取り巻く社会環境が大きく変化し、児童生徒が性に関して適切に理解し、行動できるようにすることが課題とされておりますことから、児童生徒の実態に基づいた指導を行うことが大切であると示されております。  県教育委員会といたしましては、人権の視点を取り入れながら、学校教育活動全体を通じて性に関する指導を進めていく必要があると考えております。  続いて、包括的性教育の推進のための教育環境整備についてお答えいたします。  議員お示しの包括的性教育は、二〇一八年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)が公表した国際セクシュアリティ教育ガイダンスにおいて、自らの健康、幸福、尊厳への気づき、尊厳の上に成り立つ社会的・性的関係の構築、個々人の選択が自己や他者に与える影響への気づき、生涯を通して自らの権利を守ることへの理解を具体化できるための知識や態度等を身につけさせることとされております。  現在、県教育委員会では、保健主事や養護教諭の研修会でLGBTや性被害、性暴力など性を取り巻く現代的な課題について取り上げ、人権尊重を基本にした性教育を進めているところであります。  また、県立学校の中には、産婦人科医による生徒向けの講演会を開催し、妊娠や性感染症だけでなく、性の多様性について学ぶ機会を設けるなど、多様な人々の存在を尊重した取組を行っている学校もございます。  県教育委員会といたしましては、こうした取組を各学校に周知、還元し、各学校が人権尊重、多様性尊重の視点を取り入れた包括的性教育を推進し、児童生徒の実態に即した性に関する指導のための環境整備に努めてまいります。  次に、県立高校の魅力発信の取組についてお答えいたします。  今年度は、校長会が中心となって、八月から十一月にかけまして、名古屋市内を除く県内各地区で、地元の中学生や中学校関係者を対象とした学校説明会を開催しております。これらの説明会では、各高校の紹介パネルや制服の展示をはじめ、ステージ発表、中学生からの質問コーナーなど、各高校が工夫を凝らしてそれぞれの魅力をアピールいたしました。  今後、教育委員会といたしましては、こうした学校の取組に対してしっかりと支援することを検討し、教育委員会と学校が一体となって県立高校の魅力をアピールしてまいります。 14: ◯警察本部長國枝治男君) 警察署の建て替えに関し、二つの質問についてお答えいたします。  警察施設の整備につきましては、知事はじめ県当局、県議会において、その重要性について御理解をいただき、現在、津島警察署、豊川警察署、岡崎警察署、半田警察署及び一宮警察署の五警察署の建て替えを順次進めているところであります。  ただ、県下にはいまだ老朽化や狭隘化などの課題を抱え、建て替えの必要性が高まっている警察署が多くあります。  昭和警察署につきましては、議員お示しのとおり、経年が五十四年と、建て替えの決まっている警察署を除きますと県下で二番目に古い庁舎であり、目標耐用年数としている六十年に迫っている警察署であります。  そのため、施設、設備の老朽化が進み、バリアフリー化なども不十分であるなど、県民の皆様の利便性も低下していることから、議員御指摘のとおり、昭和警察署は建て替えに向けての検討をすべき警察署であると認識しているところであります。  次に、警察署の建て替えにおけるこれまでの経緯と今後の取組などの質問についてお答えいたします。  昭和警察署は、現敷地面積が約二千九百平方メートルと余裕のあるものではないことから、現地において旧庁舎を残して業務を継続しながら新庁舎を建築することは不可能であると考えているところであります。  したがいまして、建て替えに当たっては、議員お示しのとおり、仮庁舎として利用できる施設を確保して現敷地に新庁舎を建築するか、警察署を移転できる別の敷地を確保することが必要となります。  昭和警察署建て替えに関する情報収集や検討などを進めてきた経緯につきましては、これまで平素から県の未利用財産、施設利用計画などの情報、国や名古屋市の関係部局に働きかけて施設や敷地の情報を収集し、建て替えに利用できる見込みのある民間の施設や敷地についても、担当課において積極的に調査、検討を重ねてきております。しかしながら、現時点では適当な施設や敷地が見つかっておりません。  今後も、昭和警察署は引き続き建て替えに向けて検討すべき警察署として、さらに名古屋市や民間との連携を深め、広く情報を得られるよう取り組んでいきたいと考えております。  警察署は、県民の方々の安全・安心を確保するための治安拠点であるとともに、災害警備活動の拠点でもあります。  昭和警察署の目標耐用年数も迫ってきておりますことから、老朽化はもとより、災害対策上の観点から必要に応じた各種修繕など、様々な課題を総合的に検討しなければならないと考えております。  こうした考えの下、昭和警察署をはじめとする警察署の建て替えにつきましては、それぞれの警察署の状況も勘案しつつ、計画的かつ適切に進めてまいりたいと考えております。 15: ◯知事大村秀章君) 谷口知美議員の質問のうち、私からは、今後の県立高校の魅力発信の取組についてお答えをいたします。  先日発表いたしました県立高等学校再編将来構想案では、中学生が学びたいと思える学校づくりをはじめとする五つのポイントを方向性の柱に据えまして、県立高校の一層の魅力化、特色化と前向きな再編を行うことといたしております。  県立高校の魅力は、各学校、学科の多彩なカリキュラムときめ細かな指導によって、三年間で生徒を大きく伸ばしている点にあると考えております。  例えば旭丘高校や岡崎高校など八校が文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールに指定されておりますが、過去十年間で四人の生徒が数学や化学、生物学の世界大会においてメダルを獲得するなど、将来、国際的な活躍が期待さる科学技術系人材が育っております。  また、中学校三年生のときに不登校であった生徒が、全日制と定時制合わせて毎年六百人以上、県立高校に入学をいたしておりますが、その半数以上は、教員の親身な指導やスクールカウンセラーを活用した教育相談の取組などによりまして、前向きな気持ちで目立った欠席もなく高校生活を送っております。  さらに、専門高校など就職希望者の多い高校では、手厚いキャリア教育によって、毎年ほぼ全員が県内の有力企業を中心に内定を得ております。  こうした県立高校の魅力が中学生や保護者に十分に伝わっていないという現状があるのは事実かなとも思いますので、入試改革による特色選抜の導入などと併せまして、県立高校自らの魅力発信に工夫を凝らしてしっかりと取り組んで、中学生が学びたいと思える学校づくりを県立高校におきましても推進していきたいと考えております。 16: ◯七十三番(谷口知美君) それぞれ御答弁をいただきました。  私からは、性教育についての要望です。  保健医療局長からは、ウェブページを作って、また、三歳児健診を活用しての性教育を進めていくということで御答弁をいただきました。  三歳児健診というのはとてもよいタイミングだと思っておりますので、ぜひみんなが幸せに生きていくためのそうした資料としてしっかりと全ての方にちゃんと伝わっていくように、市町村とも連携しながら取組を進めていただければと思っております。よろしくお願いいたします。  教育委員会におきましても、性教育、人権教育として、また、包括的性教育として進めていくということで御答弁をいただきました。  ただ、はぐみんプランなどでは性教育の記載がされているものの、教育ビジョンには、性的指向とか性自認、心や性に関する健康という文言はあるものの、性教育とか性に関する指導という言葉の記載は現状ないと認識をしています。  今後、教育ビジョンの改定に向けては、性教育をきちんと位置づける、人権教育として、包括的性教育としてきちんと位置づけるようしっかりと進めていただきたいということを再度お訴えさせていただきまして、発言を終わります。  以上です。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17: ◯四十番(丹羽洋章君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 18: ◯議長坂田憲治君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長坂田憲治君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時二十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時一分開議 20: ◯副議長近藤裕人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  政木りか議員。     〔四十三番政木りか君登壇〕(拍手) 21: ◯四十三番(政木りか君) 通告に従いまして、質問いたします。  持続可能な未来都市の実現について質問させていただきます。  愛知県は、あいち・とこなめスーパーシティ構想を国に提案しているところでありますが、この構想が目指す未来都市像は、グリーン・アンド・イノベーションアイランドとしています。  内容は、国内最大のモノづくり集積地の強みを生かし、グリーン・アンド・デジタル時代の新しいビジネスを創出し続ける、世界をリードする国際観光都市を目指すものです。まさに、持続可能な未来都市を先取りした取組を目指すものであります。  一方、欧米、中国など世界を見ると、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また、新たな価値を創出し続ける持続可能な都市や地域である、いわゆるスマートシティの実現に多くの都市がしのぎを削っています。  モビリティー、エネルギー、観光などあらゆる分野においてデータを駆動力とした新たな価値を生み出し、クリーンで利便性の高い持続可能な都市づくりを目指す動きが活発化している中、本県もこうした動きをリードしていかなければならないことから、こうした先進的な取組を実施するスーパーシティ構想がぜひとも採択されることを期待しています。  世界有数の自動車立県である本県は、モビリティーや関連の深いエネルギーの分野において、目指すべき未来像の目標に向け、とりわけ先導的な取組が求められます。  本県が国へスーパーシティとして提案し、実現を目指す先端的サービスの概要については、モビリティーやエネルギーなど大きく五項目があり、モビリティー分野においては、未来を先取りする移動・物流システムを掲げ、いつでも自由にポイント・ツー・ポイントの移動、輸送を可能にすることを目指しています。  具体的には、飛行機、電車、車、バス、船などの様々な移動手段の連携、いわゆるMaaSの実装を図ることとしています。  MaaSとは、公共交通か否か、また、その運営主体にかかわらず、自家用車以外の全ての交通手段による移動を一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念で、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして提供するものです。  分かりやすく言えば、ルート検索から支払いまでをシームレスにつなぐ概念です。運営事業者の異なるいろいろなモビリティサービスのバスや電車、タクシー、飛行機など、全ての交通手段による移動を一つのサービスに統合し、より便利な移動を実現する仕組みのことです。  ICTを活用して、地域住民や旅行者一人一人の移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて、検索、予約、決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。  国土交通省においては、関係府省庁とも連携しつつ、MaaSの全国への早急な普及に取り組んでいるところであり、実証実験への支援を拡充するほか、MaaSに不可欠な交通事業者のキャッシュレス化や交通情報のデータ化などについても、財政面、ノウハウ面で支援し、MaaSによる移動の利便性向上を進めています。  国土交通省は、MaaSなどの新たなモビリティサービスの活用により、都市、地方が抱える交通サービスの諸課題を解決することを目指し、日本版MaaSの将来像や、今後の取組の方向性などを検討するため、都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会を行っており、国土交通省と経済産業省においては、将来の自動運転社会の実現を見据え、新たなモビリティサービスの社会実装を通じた移動課題の解決及び地域活性化を目指し、地域と企業の協働による意欲的な挑戦を促すスマートモビリティチャレンジを平成三十一年四月に開始し、地方公共団体や企業等が幅広く参加するスマートモビリティチャレンジ推進協議会を立ち上げ、具体的なニーズやソリューションに関する情報共有を促すとともに、先進的な取組を地域において事業性分析等を実施し、ベストプラクティス、つまり、最善の方法の抽出や横断的な課題の整理等を行っています。  MaaSの目的は、自家用車に代わる移動手段を提供することであることから、MaaSの普及促進により乗り継ぎの利便性の向上や公共交通の利用促進につながると考えます。県内においても、先端技術を生かしたスマートシティのポテンシャルを持つエリアが複数あるのではないでしょうか。  例えば、名古屋市内の私の住む大曽根エリアは、大規模ショッピングモールやバンテリンドームナゴヤ、大学、大規模な事業所などが集積する、人の往来が激しいエリアであるとともに、JR、名古屋市営地下鉄、名鉄、ガイドウエーバス、タクシー、バスといった多様な交通機関が集まる県内屈指の交通結節点となっています。こうしたエリアでは、MaaS導入による交通手段の最適化が最も望まれ、また、その効果が発揮されるエリアだと言えます。  複数の移動手段を連携させ、自分の意思に従い自宅から目的地などへ自由な移動ができる社会の構築が求められる中、大曽根をはじめとして、県内のこうしたポテンシャルのある複数のエリアにおいて、MaaSをはじめとしたスマートシティ化の取組を実現していくことは、これからの高齢社会においても、より住みやすい愛知を実現していくために不可欠であり、モビリティーを誇る愛知だからこそ、先進的な取組を積極的に進めていくべきではないでしょうか。交通結節点の機能強化は、都市基盤の持続可能でスマートな地域づくりにつながると考えます。  本県においてのこうしたMaaSをはじめとする先進的な取組については、常滑エリアはもとより、県内の様々な地域へ波及させ、実装を推進することが重要であると考えます。  そうした中、先日、十一月二十五日、私の地元のNTTドコモ東海支社に教育・スポーツ委員会の皆様が県内調査にいらっしゃいました。そこで、二〇二五年完成予定の新体育館、愛知アリーナの概要について説明がありました。  愛知アリーナは、スマートアリーナになるとのことでしたので、公共交通機関の連携について質問させていただいたところ、将来的にはMaaSを使って、早く帰りたい人、そぞろ歩きで帰りたい人など、それぞれの志向性に合わせて供与されるようにしていきたいとの御説明でありました。  二〇二五年、愛知アリーナの完成前に、本県における人を呼び込むプロジェクトとして、二〇二二年秋にジブリパーク開業を迎えます。  このように、愛知のさらなる飛躍につながるプロジェクトが進展する中、本県では、二〇二一年十二月一日、昨日から二〇二二年一月三十一日まで、名古屋東部丘陵地区を中心とする地域において、経路検索、混雑情報や移動手段の予約、決済、エリア情報などのサービスを提供するMaaSの社会実装に向けた実証実験を行うとのことですが、ジブリパーク開業のインパクトを利用したリニモ沿線地域づくりで、観光交流を促進する公共交通ネットワークの充実、交通拠点と観光地を結ぶ公共交通アクセスの充実を掲げ、MaaSの普及促進と交通関連情報のデータ化、公共交通に関する世界基準のデータフォーマットを目指した取組など、公共機関の時刻表と地理的情報に関するオープンフォーマットで情報が公開されることによって、複数の公共交通機関の情報を利用する経路検索などのアプリケーション開発を進めることが可能となります。  MaaSの取組に係る方向性については、生活者の足としてだけではなく、今後、国内外から人を呼び込むビッグプロジェクトを好機に、観光やビジネスの交流促進に資する公共交通ネットワークの充実に取り組み、地域の活性化に結びつけていくことが施策の方向性とするならば、キャッシュレス決済の普及、サブスクリプションの導入など、観光客等の利便性向上も必要です。  そこでお尋ねいたします。  MaaSの取組を県内のポテンシャルのあるエリアにおいて横展開してはどうかと考えますが、県の考えをお伺いいたします。また、こうした取組を継続していくことが重要と考えますが、県のお考えをお伺いいたします。  次に、地域における生活交通の確保についてお伺いいたします。
     これまで本県では、二〇一七年からあいち公共交通ビジョンを策定し、世界との交流を促進し、安心・快適な暮らしを支えるあいちの公共交通を基本理念に、効率的で利便性の高い公共交通ネットワークの構築を目指し、取組を推進してきたわけですが、現行ビジョンの取組期間が二〇二一年度で満了することから、新たな課題に対応しつつ、切れ目なく取組を推進していくため、現在、次期あいち公共交通ビジョン(仮称)の策定の準備が進められていると聞いております。  このビジョンの位置づけとして、県の総合的な計画であるあいちビジョン二〇三〇の個別計画として、交通分野で取り組む施策の方向性を示し、国、県、市町村、交通事業者、県民等の連携した取組を促進するとしています。  取組期間は二〇二二年度から二〇二六年度の五年間であり、目指すべき姿は、「危機を乗り越え、輝く未来へつなぐ あいちの交通~モビリティ先進県を目指して~」としています。  高齢者の移動手段の確保に向けた取組の推進、自動車運転免許返納支援、持続可能でスマートな地域づくり、自動運転技術や新たなモビリティサービスの社会実装といったモビリティ先進県の実現、MaaSの普及促進、交通部門の脱炭素化、公共交通分野における次世代自動車の導入推進など、様々な公共交通を取り巻く状況の変化や施策の方向性が県のホームページ上にも上がっておりますが、公共交通の利用促進には乗り継ぎ利便性の向上が不可欠であると考えます。  地域活力や生活機能の維持、地域の特性に応じたまちづくりと一体となった交通ネットワークの構築を進めるためには、計画的な公共交通ネットワークの構築が必要であり、交通結節点の機能強化、駅前広場の整備、集約型バスターミナルの整備、さらには、鉄道駅におけるパーク・アンド・ライド、サイクル・アンド・ライドの促進、公共交通と連携した自転車活用の促進、シェアサイクルの普及促進、持続可能でスマートな地域づくりのためには、自動運転技術や新たなモビリティサービスの社会実装といったモビリティ先進県の実現が求められ、基幹交通からのラストワンマイル、ファーストワンマイルをどうつなぐかが鍵であります。  少子・高齢化の一層の進展や高齢ドライバーの免許返納の促進などにより、山間地域だけでなく都市部においても移動手段の確保がますます重要な課題になっています。近年発生している高齢者による自動車の操作ミスによる事故は大変痛ましいものであります。  二〇一七年から二〇二一年の前回のあいち公共交通ビジョンの策定以降に、モビリティーを担う自動車業界の百年に一度と言われている大変革や、新型コロナウイルス感染症拡大によるリモートワークの広がりなど、働き方の多様化も進み、社会生活に大きな変化が巻き起こりました。このことは、公共交通を取り巻く状況にも大きな変化をもたらすものであったと言えます。  人口減少や新型コロナウイルス感染症の拡大により、地域公共交通は、利用者の減少による収益の悪化等によって非常に厳しい状況となっています。  公共交通を取り巻く環境変化には様々なものがありますが、とりわけ、高齢化の進展に伴う免許返納者の移動手段の確保は大きな課題であり、高齢者にとっても住みやすい愛知の実現には、モビリティーの面からもサステーナブルな愛知県であり続ける必要があります。  運転免許を持たない高齢者等にとっては、自宅から最寄りの駅やバス停といった基幹交通網までの、いわゆるラストワンマイルの移動手段を確保することが重要であり、全体の公共交通ネットワークを形成する上でも必要不可欠な部分であります。これからMaaSを活用し、シームレスな移動を実現する上でも大変重要な視点であります。  免許を返納したくても、ラストワンマイルに適切な交通手段がないから免許が返せない、そういった状況を解決するためには、生活者の足となる利便性の高い交通網の整備が求められています。  そこでお尋ねいたします。  本県では、現在、次期あいち公共交通ビジョンの策定作業を進めていますが、こうした地域における生活交通の確保についてどう考えており、次期ビジョンではどのように位置づけ、県内の交通網をどう推進していくのか、お伺いいたします。  次に、知の拠点あいち重点研究プロジェクト等におけるMaaS、自動運転関連の研究開発について伺います。  シームレスな移動を実現するMaaSの社会実装におけるラストワンマイルの一例として、自動運転が注目を集めており、社会実装を目指して、県内においても技術開発や実証実験が活発に推進されているところであります。  特に、これから自動運転を活用したMaaSの実用化に向けては、今までのモビリティサービスとは異なり、将来的に自動運転車の車内にはドライバー等のスタッフが乗車していないことも想定されることなどから、ユーザーと自動運転車をつなぐアプリケーションや、車室の監視システム等の操作性に優れたインターフェースの研究開発が不可欠と考えます。  そこで伺います。  本県では、知の拠点あいち重点研究プロジェクトや新あいち創造研究開発補助金として、MaaSをターゲットとした自動運転に係る研究開発を行っており、この研究開発の一環として、モリコロパーク等において研究成果のフィールドテストのため、走行評価試験も実施していると聞いていますが、現在の進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。  次に、電動車の活用についてお尋ねいたします。  公共交通分野における次世代自動車の導入促進のためには、次世代自動車のエネルギー供給設備の整備や、グリーンスローモビリティー等の活用促進などが必要です。  エコモビリティライフ、環境に優しい交通手段を利用するライフスタイルを進めている愛知県だからこそ、環境負荷を軽減し、MaaSによる交通手段の最適化によりモビリティーの稼働ロスを減らすことで、環境負荷の低減に貢献することが可能となります。  また、持続可能な未来都市の実現には、モビリティーのEV化、FCV化とともに、地域の電力利用のデジタル化等を検討し、エネルギーマネジメントシステムを組み合わせたエネルギーの最適制御を目指すことで、快適な暮らしとエネルギー有効利用の両立を図ることが必要です。  一方で、自動車のEV化、FCV化においては、充電、充填インフラ面でユーザーの満足度が低く、従来車ユーザーにおいても、インフラ環境への不安がこうした自動車の導入面で障害になっているとも言われています。  本県では、今年三月にあいち自動車ゼロエミッション化加速プランを策定し、EV、PHV、FCVの新車販売割合を二〇一八年度実績の一・四%から二〇三〇年度までに三〇%まで引き上げる普及目標を掲げました。  この十一月定例県議会でも、先進環境対応自動車導入促進費補助金の増額補正予算六千三百四十二万円を計上され、EV等の普及を促進していくわけですが、これらの車両は大容量の蓄電機能も有していることから、走る蓄電池として地域の電力需給調整や災害対応力強化等に活用することも期待されています。  目指すべきは、再生可能エネルギー等の有効活用と併せて、EV、FCVなどのモビリティー、施設、店舗などの間でエネルギー需給を最適化するシステムを組成し、エリア全体のエネルギーの最適化を実現することで、平常時は余剰エネルギーを相互に有効活用するロスの少ないまち、災害時にも継続して稼働できるまちを構築することが理想です。  既に機能している都市においては、こうした取組を進めることは容易ではありませんが、エネルギー需要の大きい都市部なども念頭に、県内のカーボンニュートラルを見据えた先端的な取組を行う必要があると考えます。  そこで、最後にお尋ねいたします。  こうした観点から、地域のエネルギー需給調整や災害対応において、電動車の活用に向けた県の考えや、これまでの取組状況と今後の取組についてお伺いいたします。  以上、壇上からの質問といたします。(拍手) 22: ◯都市・交通局長(森哲也君) 初めに、MaaSの取組についてお答えします。  MaaSは、様々な移動手段やサービスを組み合わせて、ワンストップでシームレスな移動や多様なサービスの提供を可能とするものであり、公共交通の利便性向上はもとより、観光など様々な分野との連携による地域の活性化にもつながるものであります。  また、MaaSで得られる様々なデータを分析、活用することにより、都市全体の人や物の流れを適正にコントロールし、自動車や鉄道、バスなどの車両数やドライバーの数など、モビリティーの最適化を図ることも可能となります。  このため、人口減少、高齢化、災害、感染症など様々な社会課題に対し、ICT等の新技術やデータを活用しつつ、まちづくりの計画や整備を進め、都市全体の最適化を図るスマートシティの実現にとっても、交通混雑の緩和や移動手段の確保といった面でMaaSは大きく寄与するものであり、その広域的な展開は重要と認識しております。  本県では、来年秋にジブリパークが開業する名古屋東部丘陵地域を中心に、地域住民及び来訪者の円滑かつ効率的な移動や地域の活性化を目的にMaaSの実装に取り組んでおり、十二月一日から実証実験を開始したところであります。  この実験では、パーク・アンド・ライドを含む多様な交通手段の組合せによる経路検索や、リニモ主要駅の混雑情報、愛知環状鉄道のデジタルチケットの発券や周遊観光ルートの提案など、様々なサービスをスマートフォンアプリにより一元的に提供してまいります。  今後、実証実験の成果を公表しながら、MaaSの導入に意欲的に取り組む交通事業者や、MaaSを活用したスマートシティの実現に積極的な自治体や地域と知見の共有を図り、MaaSの横展開を進めてまいります。  続いて、地域における生活交通の確保についてお答えします。  高齢化が進展する中、県民の皆様が移動に不自由を感じることなく豊かな暮らしを送ることができるよう、地域の身近な生活交通を確保していくことは非常に重要な課題であると考えております。  このため、次期あいち公共交通ビジョンでは、施策の方向性の一番目に、県民生活を支える地域の足を守ることを位置づけてまいります。具体的には、ボランティア輸送やスクールバスの活用など、輸送資源を総動員した移動手段の確保、充実や、市町村が助成するタクシー利用の促進、デマンド交通の導入といった高齢者が利用しやすい取組などを盛り込んでまいります。  また、既存の地域公共交通に加え、低速電動カートや、AIや先端技術を生かした自動運転など新しい輸送サービスの活用の推進を図り、地域全体の移動環境をよくしていくことを目指してまいります。  今後とも、県民の生活を支える身近な交通網の確保に向け、国、市町村、交通事業者、サービスを提供するNPOなど地域の関係者と一体となって、しっかりと取り組んでまいります。 23: ◯経済産業局長(矢野剛史君) MaaSに係る研究開発の進捗状況と今後の取組についてお答えを申し上げます。  まず、重点研究プロジェクトにつきましては、遠隔地からの自動運転運行状態の可視化や三次元マップの自動更新技術など、自動運転に必須となる技術開発に加えて、ユーザーによる乗車車両の呼出しや、目的地の設定が容易に行える操作性に優れたアプリケーションソフトなど、MaaSの実用化に必要となる技術開発も行っており、議員御指摘のとおり、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)における自動運転走行試験を通じまして、個々の技術の検証を行っているところでございます。  最近では、本年十月から十一月にかけて、一般来場者など三百人以上に試乗いただきまして、開発中の要素技術の総合的な評価試験を実施したところであります。  次に、新あいち創造研究開発補助金につきましては、自動運転車両に取り付けられている各種センサーの稼働状態や、乗客の安全確保のための車室監視システムなどを構築することで、車両の信頼性や安全性の向上を図ることとしています。現在、システムのソフトウエア開発を進めているところであり、来年三月には大曽根駅周辺での公道において走行試験を行う予定としております。  今後は、プロジェクト参画企業や補助事業者が社会実装に向けた継続的な技術開発を推進していく予定であり、県としても、地域企業への技術移転に向けた橋渡しや確実な製品化等のフォローアップを実施してまいる所存でございます。  また、現在検討しております次期研究開発プロジェクトにおきましても、MaaSをはじめとする次世代モビリティーに関する分野にも取り組むこととしており、百年に一度の変革期を迎えている本県自動車産業の高度化に貢献できるよう、さらなるイノベーションの創出や新サービスの提供につなげてまいりたいと思っております。 24: ◯環境局長(岡田守人君) 地域のエネルギー需給調整や災害対応における電動車活用に向けた県の考えと取組についてお答えいたします。  近年、EV、PHV、FCVといったゼロエミッション車は、その蓄電・給電機能を使って外部へ電気を供給できることから、地域のエネルギーインフラや災害時の非常用電源の一部として活用することへの社会的な期待が高まっております。  このため、本県では、あいち自動車ゼロエミッション化加速プランにおいて、将来的な電力需給調整等に資するゼロエミッション車のエネルギーインフラとしての活用も念頭に、その蓄電・給電機能の活用促進を掲げるとともに、愛知県地域強靱化計画に停電時における活用が明記されたことを踏まえ、災害時の蓄電・給電機能の有用性について啓発を行うことといたしております。  具体的には、住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金により、車から住宅への充給電設備、いわゆるV2Hの導入を支援しております。  また、今年度新たに自動車メーカー、ディーラーと連携し、県内二か所で市町村の避難所開設・運営訓練の一環として、ゼロエミッション車の外部給電機能の実演を通じた啓発イベントを実施したところであります。  さらに、こうした取組の成果を発信するため、来年三月にあいち自動車ゼロエミッション化加速フォーラムを開催し、県民の皆様や事業者、市町村の方々に蓄電・給電機能の認知度向上を図ってまいります。  今後、V2Hや外部給電器などの情報や優良な導入事例を提供するために、本県が作成したEV・PHV用充給電設備整備促進ガイドラインについて、最新の事例を踏まえた見直しを行うとともに、特に災害時の電源供給ニーズが高いと想定される学校や福祉施設等への関連機器の導入を働きかけることにより、ゼロエミッション車のエネルギーインフラや災害時の非常用電源としての活用を促進してまいります。 25: ◯知事大村秀章君) 政木りか議員の質問のうち、私からも、次期あいち公共交通ビジョンの取組についてお答えをいたします。  本県におきましては、ジブリパークの開業やアジア競技大会の開催など、世界中から注目の集まるプロジェクトを控えており、リニア中央新幹線の開業や中部国際空港の第二滑走路の整備をはじめとするゲートウエー機能の強化とともに、広域交通ネットワークの充実を図ることで多くの人を呼び込むことが重要であると考えております。  昨今の社会情勢の変化やビッグプロジェクトの進展を機を逸することなく的確に捉え、本県のさらなる発展につなげていくため、次期あいち公共交通ビジョンを策定してまいります。  持続可能な交通ネットワークを構築し、ラストワンマイルなど県民の足をしっかりと確保するとともに、ICTなどの先端技術も活用しながら、さらに利便性の高い交通サービスを提供することにより、本県の豊かな発展や脱炭素社会の実現にもつなげてまいりたいと考えております。 26: ◯四十三番(政木りか君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。  それでは、要望をさせていただきます。  来年三月には大曽根周辺でもフィールドテストを行っていただけるという御答弁でしたので、期待しております。  また、県内のポテンシャルの高い様々なエリア、まだまだ複数の地域があると思います。常滑同様、同時にそれぞれ展開していっていただきたいということ。それは利便性向上につながりますし、また、交通結節点においては、ジブリパークや愛知アリーナ、アジア大会、これからたくさんの主要プロジェクトを行っていく上でも、様々な方の利便性の向上につながっていくと思いますので、引き続き進めていただきますようお願い申し上げますとともに、免許を返納したくても返せない高齢者等の生活者の足となる利便性の高い交通網の整備についても、自宅から目的地まで切れ目のない移動が実現されますよう要望して、質問を終わります。 27: ◯副議長近藤裕人君) 進行いたします。  木藤俊郎議員。     〔八十九番木藤俊郎君登壇〕(拍手) 28: ◯八十九番(木藤俊郎君) それでは、通告に従い一般質問を行います。  まず、第一問目は、医療的ケア児の支援についてお伺いいたします。  近年、医学の進歩により、以前なら出産直後に亡くなるケースであっても、新生児医療の目覚ましい発達とともに、難病や障害のある多くの子供の命が救われています。  そして、医療機関を退院した後も、生きるために日常的に人工呼吸器による呼吸管理やたんの吸引その他の医療行為や、チューブを通じて胃や腸に直接栄養を送る経管栄養が必要な子供を医療的ケア児と呼びます。  現在では、生後五百グラムに満たない赤ちゃんや先天的な疾患を持つ赤ちゃんでも命を救えるようになりました。そのようなことから、日本は世界で最も赤ちゃんを救う国と言われております。  我が国では、二十歳未満の医療的ケア児の数は二〇二〇年現在、全国で二万人いるとされ、この十年間で二倍に増えました。愛知県内では二〇一九年度医療的ケア児実態調査において、千四百六十人とされております。  医療的ケア児の在宅療養は家族の負担が重く、二十四時間のケアのために保護者が仕事を失う、または新たな就労を断念せざるを得ない、社会とのつながりを失い孤立するなどの状況が生じているのが現状です。  また、医療的ケア児がいる家族が保育園などの施設に通うことを希望している場合であっても、施設側が医療的ケア児を受け入れるためには、各児童に応じた医療的ケアのための人員や設備を整える必要があり、相応の財政的負担が生じるため、受入れに積極的な施設は多くありません。仮に受入れを行っている施設であっても、提供できる医療的ケアは一定のものに限られ、それ以外の医療的ケアを必要とする児童は施設に通うことを断念せざるを得ません。その結果、医療的ケア児が心身の状況等に応じた適切な支援を受けられないという問題が生じていました。  このような事態の改善に向けて、関係者の尽力により二〇一六年には、医療的ケア児への支援を各省庁及び地方自治体の努力義務とする改正児童福祉法が施行されました。そして、その後、国会において超党派で結成された医療的ケア児の支援の法制化を目的とする議員連盟、永田町子ども未来会議が五年かけて法律案をまとめ、本年六月十一日に議員立法による医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法が参院本会議で全会一致で可決、成立いたしました。  この法律が成立したことにより、これまで努力義務にとどまっていた国や自治体の支援策を責務として法で明文化しました。また、この法律では、支援の地域間格差を是正して家族の負担を減らし、医療的ケア児を全国どこでも安心して育てられるサポート体制を国や自治体に求めています。  私は先日、同僚議員と共に、豊田市の一般社団法人リスマイルが運営する障害児のための複合施設、りすまいるビレッジを視察してまいりました。  この施設では、重度心身障害児に対するデイサービスを行っており、児童発達支援管理責任者の下で医療的ケアに対応できる看護師が常駐し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が在籍し、マンツーマンでリハビリを提供するセンターとなっており、専門の相談支援専門員が常駐し、きめ細やかな相談と適切なケアプランを作成しています。また、リハビリ以外の時間は専従の保育士が温かく対応しています。  このように、安心・安全な環境でお子様をお預かりし、個別プランを作成して適切なリハビリ、看護、保育を提供しておられ、りすまいるサポートでは、障害児者の相談支援事業を行っております。  訪問して感じたことは、今後、医療的ケア児の方や御家族に対して、医療、療育の観点から自治体や地域社会がノーマライゼーションの心を育み、このような施設のさらなる普及と、支援に携わる様々な資格を持った多職種の方々の増員や待遇の改善、また、経営上のサポートが必要だと感じました。  さて、支援法に話を戻しますが、国と自治体に求められる具体的な支援措置は、医療的ケア児が在籍する保育所、学校等に対する支援、医療的ケア児及び家族の日常生活における支援、相談体制の整備、情報の共有の促進、広報啓発、支援を行う人材の確保、研究開発等の推進などです。  特に、都道府県には医療的ケア児支援センターの設置を求めています。このセンターの役割は、医療的ケア児及びその家族の相談に応じ、または情報の提供もしくは助言その他の支援を行い、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関等への情報の提供及び研修を行う等となっております。  さて、成立後三か月を経て、いよいよこの支援法が九月十八日に施行されました。医療的ケア児やその御家族からは、今後、支援法に沿って具体的な支援の充実がなされることに大きな期待が寄せられております。  そこでお尋ねいたします。  医療的ケア児支援法による医療的ケア児支援センターの設置など、今後、愛知県では医療的ケア児の支援の充実をどのように図っていくのか、お尋ねいたします。  続きまして、コロナ禍における心の健康について、児童生徒の不登校対策と女性の自殺対策の二点伺います。  まず、児童生徒の不登校対策についてです。  全国の小中学校で二〇二〇年度に不登校だった児童生徒は、前年度比八・二%増の十九万六千百二十七人で過去最多となったことが、十月十三日、文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で分かりました。  新型コロナウイルスの感染回避のため、長期間にわたり登校しなかった小中高校生は三万人を超え、文科省は、友達との交流など学校生活が制限を受け、登校意欲が湧きにくい状況にあった、コロナ禍が子供たちの生活に変化を与えたと分析しております。  この調査は、毎年、国公私立の小中高校と特別支援学校を対象に実施。不登校は、病気、経済的理由などを除いて年間三十日以上登校していない状況を指します。  小学生は六万三千三百五十人、前年度比一八・七%増、中学生は十三万二千七百七十七人、同三・八%増で、いずれも八年連続で増加、前年度から計一万四千八百五十五人増えました。  新型コロナの感染拡大を受け、全国の学校では昨年三月から一斉休校が実施されました。多くの学校では同五月まで休校が続き、その後も夏休みの短縮、修学旅行や運動会の中止などで学校生活は一変しました。校内では、友達と一定の距離を保つよう求められ、給食の時間は全員が前を向いての黙食が行われました。カウンセリングを必要とするほどではないものの、強いストレスを感じる子供が増えていると思われます。  今回初めて調査項目に加わったのが、感染を避けるため、年三十日以上登校しなかった感染回避です。独自に出席扱いとする自治体もありますが、感染回避は小中高校で計三万二百八十七人に上ったことが判明しました。  また、二〇二〇年度に自殺した小中高校生は四百十五人で、前年度から九十八人増えました。一九七四年に調査を始めて以来最多となり、文科省では、家庭で居場所のない子供たちの救いの場になっていた学校がコロナ禍で休校になり、行事も中止や延期になった影響もあると見ています。中でも、特に高校生が二百二十二人から三百五人へ八十三人、約三七%の増加となっております。  このコロナ禍で児童生徒の悩む姿が分かります。コロナ禍で学校行事や部活動が制限され、友達との接触が極端に減るといった子供たちが置かれている状況は、大人が想像している以上にストレスだと改めて認識し、もっと子供同士が触れ合える機会を意欲的に持つことが重要だと思います。  また、これまで子供のSOSを受け止めていたボランティア団体の活動なども休止せざるを得ない状況でした。コロナ禍だからこそ不安を抱えるリスクの高い子供に対する相談体制や支援活動を継続し、子供にとって気持ちを話せる場など、直接相談できる体制づくりが今後ますます重要になってくると思います。  そこでお尋ねいたします。  愛知県における公立小中学校の不登校児童生徒数の状況は、前年度と比較してどうなっているのか、また、文科省が行った児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で分かった主な原因と、愛知県として今後、公立小中学校の不登校対策をどのように行っていくのか、お尋ねいたします。  次に、二点目の女性の自殺対策について質問いたします。  政府は、十一月二日の閣議で二〇二一年版の自殺対策白書を決定しました。その中で、職に就いている女性の二〇二〇年の自殺者数は千六百九十八人で、二〇一九年までの五年間の平均と比べて三割近く増加しております。新型コロナウイルスの感染拡大で販売などの小売業、医療や福祉の仕事や宿泊業、飲食のサービス業など、女性が多い非正規労働者の雇用環境が悪化したことが影響したと見られます。
     二〇二〇年の自殺者総数は全国で二万千八十一人と、前年比で九百十二人、四・五%増加しました。増加は十一年ぶりで、男性は減少したものの、女性の増加幅が上回りました。分析では、無職の女性は減少し、男性は職の有無に限らず減少しており、働く女性の自殺増加が顕著だったことがうかがえます。  月別で見ると、年前半は例年より少なく、後半に増加し、緊急事態宣言中の四月は前年より三百人以上少なかった一方、感染が落ち着いていた十月は七百人近く多かったことが分かります。  必ずしも経済活動が抑制されている感染拡大期に増加しているわけではありません。十月は無職女性の増加も目立っています。非常事態宣言中など緊張感があるときよりも、感染が終息し、将来を考える時間が増えたときのほうが自殺者数が多くなる傾向が見てとれます。  動機別では、鬱病など精神疾患を含む健康問題が多く、経済や生活の問題など他の要因が精神疾患に発展するケースも多く、厚生労働省は要因を複合的に見るよう指摘しています。  二〇二〇年の総務省の労働力調査では、シングルマザーと夫と子供のいる女性の完全失業率では、二〇二〇年二月以降の完全失業率を見ると、シングルマザーのほうが予想値よりも大幅に上昇している一方で、夫と子供のいる女性はシングルマザーの完全失業率ほど予想値と乖離していませんでした。つまり、シングルマザーが雇用の現場で職を失っているという結果が読み取れます。  そこで質問いたします。  コロナ禍で愛知県内の女性の自殺者数の現状はどのようになっているのか、また、今後、女性の自殺者数を減らすためにどのような取組を考えておられるのか、お伺いいたします。  さて、この質問では、児童生徒の不登校対策と女性の自殺対策の二点お伺いいたしました。コロナ禍で健康への不安、事業経営の存続への不安、独り親家庭の貧困の問題、学校や職場でのコロナ感染防止対策など、多くの国民が過去に例のない感染症に悩み苦しんでいます。中でも、社会的に弱い立場にあり、その中心にいる女性と子供に不安が広がっている状況があります。  現在、政府では、子供や子育て世代をメインとした給付金を計画しております。この給付金が目指すものは、本日取り上げた視点から、子供と働く女性に寄り添うものであると確信をしております。ぜひとも着実に実施をしてもらいたいと思います。  続きまして、コロナ感染者の後遺症対策について伺います。  今年十月、世界保健機関(WHO)が後遺症の定義を初めて発表しました。感染が確認されてから三か月以内に症状が出て、それが二か月間以上続き、他の病気では説明ができない症状などといたしました。  また、WHOは、新型コロナウイルス感染者の十人に一人が後遺症になると見解を出しています。日本では百七十万人以上が感染しており、少なくとも十七万人以上の患者がいることになります。  今、新型コロナの感染者は以前と比べて減少傾向が続いていますが、その一方で、NHKの報道によると、東京都では後遺症の相談件数が八月から急増し、九月には千件を超えています。また、川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院に開設された新型コロナ後遺症の専門外来に十月訪れた患者の数は九月の二倍の三十八人。働き盛りの世代だけではなく、十代の若者も治療を受けに来ています。後遺症になる原因も根本的な治療方法もまだ解明されていない中、どのように治していけばいいか、病院も、そして患者も戸惑っています。  また、国立国際医療研究センターでは、新型コロナに感染して回復した人にアンケート調査を実施し、回答を得た四百五十七人の解析結果を十月に公表しました。四人に一人は発症から半年後も何らかの後遺症が残り、十人に一人は一年後も症状が残った。女性のほうが男性と比べ、倦怠感は二倍、脱毛は三倍出やすいほか、若者や痩せ型の人のほうが嗅覚・味覚障害が出やすいとしています。  東京都福祉保健局では、感染から回復した後にも後遺症として様々な症状が見られることをロング・コビットといい、二十代、三十代でも発症する割合が高く、どの年代でも認められるとしています。  後遺症によって深刻な影響を受けているのが働き盛りの世代です。世界五十六か国の後遺症患者を対象にした最新の研究では、およそ五人に一人が後遺症が原因で退職や解雇などに追い込まれていることが分かりました。  東京都渋谷区で新型コロナの後遺症外来を設けているヒラハタクリニックは、これまでに後遺症に悩む患者二千七百人余りを診てきました。クリニックによりますと、十月十日時点で後遺症の疑いがあると診断した患者で仕事をしている千五百七人のうち、仕事に影響が出ていると見られる千三人、率にして六六%に上っていることが分かりました。そのうち、休職した人が五百九十四人、解雇や退職、廃業となった人が八十五人、長時間働けず時短となった人が百六十五人などとなっています。  後遺症で仕事に影響が出る要因の一つが強い倦怠感で、立ち上がることもつらく、一日の多くを寝て過ごさざるを得ない人もいるということです。さらに、後遺症の根本的な治療法が確立されていないことや、一見して分かりにくい後遺症への周囲の理解が進まないことで、気分の落ち込みを訴える人もいるということです。  平畑光一院長は、最初の症状が軽かったといって甘く見てはいけない、倦怠感など後遺症の症状が強くて長引くことが報告されている、休職中の人も三か月、半年と時間がたつと、どんどん自然退職という形で退職するケースが多くて、失業の危機にさらされている、後ろめたさを感じ、精神的につらくなって辞めてしまうケースもある、後遺症で外来に来る方の三分の二の方が生活の基盤を揺るがされるようなことに見舞われていて、そのことがあまり社会で認知されていないことが大きな問題だと思うと話しています。  さて、都道府県の一部では後遺症に向けた様々な取組が始まっています。  埼玉県は、埼玉県医師会と協力し、多くの医療機関が新型コロナ後遺症の診療をできるよう、診療の指針となる症例集の作成に取り組んでおります。その症例を集めるため、七医療機関の八診療科において後遺症外来を実施し、地域の医療機関から紹介を受けた後遺症患者の診察を行います。後遺症外来を行う医療機関からは、患者様のプライバシーに配慮した形で症例を集め、症例集として取りまとめる予定です。完成した症例集を県内の医療機関に提供することで、多くの医療機関が後遺症の診療をできるように働きかけていく計画です。  福岡県医師会が十一月十七日に新型コロナの後遺症に関する専用の相談窓口を近く設置する方針を明らかにしました。福岡県医師会は、相談窓口を医療機関の中に設置するかどうかなど、詳細について福岡県と協議をしているということで、後遺症に苦しむ人が医療支援の輪から漏れない体制を整えたいとしています。  東京都の東京iCDC専門家ボードの後遺症タスクフォースでは、新型コロナウイルス感染症の後遺症の存在を周知するため、新型コロナウイルス感染症後遺症リーフレットを作成しました。このリーフレットを通じて、新型コロナウイルス感染後に様々な症状で苦しむ方々に後遺症を患っている可能性を自覚してもらい、医療機関や相談窓口等につなげることを目的としています。  先ほどのヒラハタクリニックの平畑光一院長はマスコミの取材に対して、国に求めたい支援として、後遺症外来や相談窓口が増えるように後押しをしてほしい、さらに、公的支援にたどり着けなかったり、どんなサービスがあるか分からない人も多い、公的支援の周知を急ぐべきで、一覧表を自治体が病院に配布したり、手続を手助けできるコールセンターなどが各地にできるよう取り組んでもらえたらありがたいと語っています。  私は、これまでに全国で五番目の感染者が出た愛知県内にも、多くの後遺症に悩む県民の方がおられるものと思っております。現在、愛知県では、公式ホームページにおいて、新型コロナウイルス感染症の療養終了後も続く後遺症にお悩みの方への相談窓口として、県内保健所と愛知県感染症対策局感染症対策課を紹介しておりますが、愛知県としても、後遺症に悩む方にリーフレットなどによる情報提供体制や県内にある後遺症専門外来や相談窓口の紹介など、愛知県医師会などとの協力体制の下、もう一歩踏み込んだ積極的な後遺症対策を推進すべきだと思います。  そこで質問ですが、愛知県内の後遺症に悩む方の状況をどの程度把握しているのか、また、コロナ感染者で後遺症が発生しておられる方への相談体制と医療体制を今後どのように充実させていかれるのか、お尋ねいたします。  最後の質問は、県立高校におけるICT機器の充実について伺います。  来年度から高等学校の新たな学習指導要領が実施されますが、その指導要領の解説資料には、学習の基盤となる資質、能力として、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等が掲げられております。  そのうち、情報活用能力については、その育成を図るため、各学校においてコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることとされ、情報手段を活用した学習活動を充実するためには、校内のICT環境の整備に努め、生徒も教師もいつでも使えるようにしておくことが重要であります。  情報活用能力は、各教科等の学びを支える基盤であり、これを確実に育んでいくためには、各教科等の特質に応じて適切な学習場面で育成を図ることが重要であるとともに、そうして育まれた情報活用能力を発揮させることにより、各教科等における主体的、対話的で深い学びへとつながっていくことが一層期待されるものであるとされております。  ここで述べられておりますように、校内のICT環境の整備に努め、生徒も教師もいつでも使えるようにしておくためには、ICT機器の充実、中でも生徒用の端末が大変重要であります。  本県の県立高校においては、昨年度から今年度にかけて四万八千台のタブレット端末の導入が、端末の導入効果が高いと思われる学校に一人一台となるよう試行的に重点的な配備をされました。  私の地元にある一宮商業高校もそのうちの一つで、プリントをデータで配付したり、タブレットをノート代わりにするなど、一人一台端末の環境を生かした取組を進めていると聞いております。  そこでお伺いいたします。  一人一台端末を配備した県立高校はほかにもありますが、それらの学校におけるタブレット端末の活用はどのような状況であるのか、伺います。  県立高校におけるタブレット端末については、本年九月の我が党の代表質問で岡議員から、県立高校の一人一台端末環境の実現に向けた取組をお尋ねいたしました。  その際の教育長答弁では、一人一台端末が配備されていない学校については、当面はBYODも選択肢に加え、段階的にCYODへの移行を検討することが望ましいのではないかと考えているという答弁でございました。  その後、今般の国の経済対策において、地方創生臨時交付金が上積みされるとの知らせを受けまして、この交付金を活用して県立高校へのタブレット端末の配備をさらに充実させることができるのではないかと思っています。  来年度から中学校で一人一台タブレットを使っている生徒が県立高校に入学してきます。ICT教育を推進するには、やはりスマートフォンよりもタブレット端末のほうがより望ましいだろうと思います。  そこでお伺いいたします。  直近の国の動きなどを踏まえ、県立高校の一人一台端末環境の実現に向けて、どのように考えているのか、伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 29: ◯福祉局長岡本範重君) 医療的ケア児への支援についてお答えいたします。  医療的ケア児とその御家族が安心して地域で生活していただくためには、身近な地域において、医療、保健、福祉、教育など、様々な機関が連携して支援していくことが重要でございます。  そのため、本県では、市町村においてこれらの関係機関が連携し、医療的ケア児等が抱える課題やその対応策の検討を行う協議の場を設けるよう、市町村担当課長会議等を通じて働きかけを行っており、昨年度末までに五十市町村に設置され、今年度中には全ての市町村に設置される見込みとなっております。  また、多分野にまたがる支援を適切に医療的ケア児等につなげるため、サービスを総合的に調整する医療的ケア児等コーディネーターを各市町村に設置できるよう、二〇一八年度から県において養成研修を行っており、本年五月時点で五十三市町村に二百十一人が配置されているところでございます。  このように、県と市町村が一体となって支援体制を整備しているところでありますが、困難な事例に対する支援体制のさらなる強化を図るため、今年度から、県において具体的な事例を題材としたコーディネーターへの実践的なフォローアップ研修を実施するとともに、コーディネーターに対し助言などを行うアドバイザーを県内に十人配置し、コーディネーターの活動を支援しているところでございます。  今後とも、市町村と連携を図り、医療的ケア児の地域における支援体制の充実が図られるよう取り組んでまいります。 30: ◯教育長長谷川洋君) 最初に、児童生徒の不登校対策についてお答えいたします。  まず、不登校児童生徒の状況でありますが、全国と同様に本県も増加しております。二〇二〇年度の不登校児童生徒数は、名古屋市を含む公立小中学校で一万三千六十二人となっておりまして、前年度の二〇一九年度と比較すると千九十人増加しております。  次に、主な原因ですが、小中学校とも本人の無気力、不安が最も多く、小学校で四六・三%、中学校で四七・一%と、いずれも主な要因の半数近い数値を示し、それぞれ五・一ポイント、七・四ポイント増加をいたしました。  その要因として、コロナ禍で生活環境、生活リズムが変わったこと、学校生活に様々な制限が加えられているため、登校意欲が湧きにくい状況となっていると推察をしております。  現在、県教育委員会では、小中学校に対して、専門知識を有するスクールカウンセラーの配置やスクールソーシャルワーカーの配置経費の一部を補助する取組を行っておりますが、複雑化、多様化した問題を抱え、無気力、不安を訴える児童生徒へ対応するためには、こうした相談体制の充実が重要と考えております。  今後も、子供たちが安心して学校生活を送ることができるよう、学校及び市町村における相談体制の強化にしっかりと取り組んでまいります。  次に、県立高校におけるICT機器の充実についてお尋ねをいただきました。  初めに、一人一台端末を配備した県立高校におけるタブレット端末の活用状況についてでございます。  一人一台端末配備校のうち、普通科の事例では、数学の授業におきまして、教員が授業の予習動画を作成して生徒に予習をさせた上で、授業では生徒がタブレット端末に書き込んだ解答をグループで議論を行い、学習の質を高めております。  また、例題の解説動画を各自が所持しているスマートフォンで閲覧しながら、タブレット端末をノートの代用として解答を書き込むなど、生徒自身が工夫をしながら端末を活用しております。  また、英語の授業では、オンライン会議システムを使って、生徒が海外の高校生と一対一のペアをつくり、それぞれがタブレット端末を用いて資料を提示しつつ、お互いの顔を見ながら英語でコミュニケーションをする取組もなされております。交流前の準備を含め、生徒は意欲的に取り組むことで実践的な英語力を身につけ、英語の外部試験におきましても好成績を収めております。  商業科の高校では、生徒が各自のタブレット端末上で同一の画面を共有し、商品開発などについてそれぞれが意見を書き込みながらミーティングを行い、新しいアイデアを生み出す活動に取り組んでいるほか、デザインやプログラミングについてもタブレット端末を活用して学ぶなど、それぞれの学校の教育目標に応じて、一人一台端末を活用した取組が行われております。  次に、県立高校の一人一台端末環境についてでございます。  タブレット端末につきましては、これまで国庫補助など国による財政支援を活用しながら配備を進めてまいりました。  一人一台の端末が配備されていない学校につきましては、今後、BYODあるいはCYODにより情報端末を活用した教育活動を進めていくことを考えておりますが、コロナ後を見据えた国の経済対策や補正予算などの動向にも留意しながら、各学校の実情や特性に応じて、県立高校の一人一台端末環境を整備してまいりたいと考えております。 31: ◯保健医療局長吉田宏君) 本県における女性の自殺の現状についてでございます。  本県における女性の自殺は、自殺者が全国的に急増しました一九九八年以降、年間四百から五百人前後で推移しておりましたが、二〇一五年から減少傾向となり、二〇一九年には三百二十一人まで減少いたしました。しかしながら、二〇二〇年には一転して前年から六十九人増の三百九十人となりました。  二〇二〇年の女性の自殺者における職業の有無では、無職者が二百五十二人、有職者が百十二人でしたが、前年と比べ無職者が一割増、有職者が六割増と有職者の自殺が大幅に増加しておりました。  自殺の原因、動機については、最も多かったものは健康に関する問題で二百二十五人でしたが、勤務に関する問題が前年から二倍の二十七人となったこと、遺書等がなく原因が不詳のものが前年の五倍を超え、八十五人となったことが二〇二〇年の際立った特徴でございます。  次に、女性の自殺対策に関する取組についてでございます。  県では、SNSや電話相談等をはじめとするこころの相談窓口を広く県民に周知するため、ポスター、リーフレット、カードを作成し、ハローワークや女性相談センターをはじめとする県内約二百五十か所の関係機関へ配付しております。  相談窓口の一つであるSNS相談の状況としましては、今年四月から十月までの相談件数が三千件を超えておりまして、その六割が女性からの相談でございました。  また、女性の自殺が増加した状況を踏まえまして、相談窓口の一層の周知を図るため、様々な立場で活動している女性団体で構成される愛知県女性団体連盟の御協力を得まして、十一月にリーフレットを各加盟団体に配付し、相談を呼びかけております。  今後は、来年一月末頃に開催されます愛知県女性団体連盟主催のセミナーにおきまして、自殺予防のためのゲートキーパー研修を実施いたします。さらに、各加盟団体におきましてもゲートキーパー研修を開催するなど、女性の自殺対策にしっかりと取り組んでまいります。 32: ◯感染症対策局長(杉原武君) コロナ感染者の後遺症対策についてお答えします。  新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む方の状況についてでありますが、県庁に設置している健康相談窓口において、後遺症に関する相談件数は、本年九月は相談件数八千百件中十一件、十月は五千六百二十六件中二件で、その内容は脱毛や味覚・嗅覚障害などでした。  次に、後遺症を含めた相談体制については、県庁及び保健所などにおいて、看護師をはじめ専門職による健康相談窓口を設け、二十四時間体制で対応しております。  また、新型コロナウイルス感染後の様々な症状に悩まれる方の不安解消のため、県のウェブページに後遺症について掲載し、まずはかかりつけ医などに御相談いただくか、健康相談窓口に電話するよう御案内するとともに、十一月二十六日には、主な後遺症の症状や相談先一覧を掲載したリーフレットを新たに作成し、ウェブページに掲載しました。引き続き、ウェブページやリーフレットを適宜更新し、情報提供に努めてまいります。  さらに、県医師会に御協力いただき、かかりつけ医を対象とした後遺症のウェブセミナーを開催いたします。具体的には、愛知医科大学メディカルクリニックの後遺症専門外来の医師を講師としたセミナーの動画を本年度内にウェブで配信し、いつでも視聴できる環境を整えることにより、地域の診療機関の対応力の向上と、症状に応じて専門診療科につながるよう、後遺症に関する医療体制を整備してまいります。  今後も、健康相談窓口の周知を図るとともに、相談への適切な対応や医療体制の充実を図り、後遺症に悩まれる方や御家族の不安解消に努めてまいります。 33: ◯知事大村秀章君) 木藤俊郎議員の質問のうち、医療的ケア児の支援について、私からもお答えをいたします。  医療的ケア児とその御家族への支援には専門的な知識と経験が求められ、また、医療的ケア児が利用できる社会資源の状況も地域によって様々であることから、地域の支援体制を専門的、広域的に支える仕組みづくりが大変重要な課題であると認識しております。  このような中で、本年九月に施行された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律におきまして、都道府県は、医療的ケア児やその家族に対する専門的な相談対応や人材育成などを行う中核的な支援機関として、医療的ケア児支援センターを設置することができるとされております。  このセンターは、医療的ケア児とその御家族が居住する地域にかかわらず、ひとしく適切な支援が受けられ、児童の健やかな成長を図るために大変大きな役割を担うものであります。  このため、本県におきまして、地域では対応困難な専門性が必要な相談への対応や、看護師、介護職員等の医療的ケア児への支援を担う人材の養成を行う医療的ケア児支援センターを来年度設置してまいりたいと考えております。  この医療的ケア児支援センターが関係機関等と連携しながら取組を進めることにより、地域の支援体制のさらなる充実を図り、医療的ケア児とその御家族が安心して生活できる環境づくりを進めてまいります。 34: ◯八十九番(木藤俊郎君) ありがとうございました。  一点要望いたします。  今、来年度、このセンターを開設すると大変力強い発表がありました。感謝を申し上げたいと思います。  この医療的ケア児の支援は、おっしゃったように、医療、保健、福祉、教育、また、多くの機関が連携して当たる専門的なセンターとなります。ぜひ今後整備されますセンターにおかれては、その使命を十分に果たしていただきまして、安心して子供を産み育てることができる社会の実現に大きく寄与していただきますよう要望を申し上げて、質問を終わります。 35: ◯副議長近藤裕人君) 進行いたします。  朝倉浩一議員。     〔十九番朝倉浩一君登壇〕(拍手) 36: ◯十九番(朝倉浩一君) 議長にお許しをいただきましたので、順次質問させていただきます。  私は、令和元年の九月議会において、不登校について質問させていただき、全国の小中学校の不登校生徒数は近年増加傾向で、夏休み明けは子供の不登校や自殺が増える時期でもあり、不登校の子供たちが安心できる居場所づくりが課題になっているということをお伝えいたしました。  今回は、不登校とともに課題の一つであるいじめのうち、特に近年問題となっている小中学校のネット上のいじめについて質問させていただきます。  いじめは、子供たちの心身の健全な発達に深刻な影響を及ぼす許されない行為であり、子供の人権に関わる重大な問題であります。あいちの教育ビジョン二〇二〇のいじめ、不登校への対応についての実施報告書によりますと、二〇一六年三月に文部科学省より、学校がさらに積極的にいじめの認知を行うよう通知が発出されたことを踏まえ、本県では、いじめ認知件数は増加傾向にありますが、各学校において積極的にいじめを認知し、解決を図ろうとしている表れと捉え、二〇一九年度に認知した二万九千六百二十四件のうち、二万二千八百四十四件について解消が図られました。  改めてですが、いじめや学校になじめない、勉強についていけないなど、やむを得ない理由で不登校になった子供たちの中で、いじめが原因となっている生徒は全体の〇・三%であります。  文部科学省の調査によると、いじめの態様として、冷やかしやからかい、悪口が圧倒的に多いのですが、注目するのは、年々パソコンやスマホ等を使っての誹謗中傷が増えてきていることです。  昨今のいじめについて話題になっていたのは、若者や子供たちの会員制交流サイト(SNS)やネット掲示板などによる個人的な誹謗中傷です。書き込みによる悪質かつ陰湿で攻撃的なネット上のいじめを受けて自殺をするということが大きな社会問題になっています。  GIGAスクール構想を掲げて主導した国が全国の小中学生に一人一台ずつ配備した学習端末で、画面上の文字でリアルタイムに会話できるチャット機能をどう使うか、学校現場が試行錯誤しているという記事がございました。  東京都町田市の小学校で、女児が学校で配られた端末の画面上でうざいと言われて、ネット上のいじめを訴える遺書を残して自殺した問題は、チャットが使われた可能性が指摘されております。
     端末などにログインする際にはIDやパスワードが必要になります。全国七十四自治体のうち不正アクセスは、他人のIDやパスワードを使うなどしたものが七自治体、町田市を含めて共通パスワード使用が五自治体で、類推できるパスワード使用も二自治体と、十四自治体もあったそうです。  内閣府から出された年齢別のインターネット利用状況についての調査結果です。十二歳以上では、コミュニケーション、いわゆるSNSを約六割から九割もの生徒が使うようになります。これらのデータからも、複雑化する要因の中でも、SNS上での人間関係のトラブルによって学校に通えなくなっている生徒が少なからずいることが推測できると思います。  また、総務省から出ているインターネットトラブル事例集二〇二一年版によりますと、SNSでの悪口、仲間外れだけではなく、腕試しで作ったウイルスの拡散などの犯罪行為、または意図せず掲載した写真からの個人情報の流出などの被害も挙げられています。  このような環境から子供たちを守るために、約九割もの保護者の方々が何らかの形でネット利用の管理をされているというデータもありますが、専門性も高く、そういった問題はなかなか子供から保護者に話をしないということもあり、難しい問題とされております。  そのような中で、愛知県では、いじめの早期発見、未然防止を図るため、法的な側面から相談体制の整備充実を図るため、法律の専門家である弁護士をスクールローヤーとして教育事務所に配置し対応したり、専門業者に委託し、県立高校に関するインターネット上の学校非公式サイト等を定期的に監視してネットパトロールを実施し、学校や警察などと連携を取り、問題が大きくなる前に発見したりする取組がなされています。  しかしながら、県内の小中学校でネットパトロールを行っている自治体は、政令指定都市名古屋市を除いて一つもありません。  今年の三月には、名古屋市の中学一年の女子生徒がLINEでグループをつくり、メッセージのやり取りで誹謗中傷を受け、学校にも相談したが、最悪の結末として、その生徒が自殺してしまった事件がありました。  その事案を受けて名古屋市教育委員会が調査した結果では、SNS上でいい子ぶっているなどと悪口を書かれる、ゲームセンターで遊んでいる様子を無断で撮影して掲載される、友達同士の会話を無断で録音されて拡散されるなどがあったと報告がありました。早い段階でネットパトロールによって気づいてあげられたら防げたのかもしれません。  私も実際に、ほかの案件で親御さんからお聞きした話ですが、中学生の娘がいじめによって不登校になり、一部の子と万引きをして捕まり、家庭内で暴れるなど、児童相談所に送られたそうです。いじめに気づいたのは、娘が学校に行けなくて途方に暮れていたところ、マンションの住人に死にたいと漏らしたことからだそうです。その後、娘さんの祖父の追跡によりSNSでのグループのネット上のいじめが分かったのです。実際に見せてもらいましたが、それはひどい誹謗中傷でした。私からは市教委に相談をさせていただき、丁寧な対応をしていただき、今では進学を希望して頑張っていると聞きました。  私が身近に知ることができた例ですが、不登校だった生徒がいじめによりつらい、死にたいと思う前に大切な命を守ることが大変重要なことと考えます。その子たちを事前に察知できれば、対策を講じられたかもしれないと後悔しても遅いのです。  また、先日、ネットパトロールを導入している三重県を視察いたしました。  三重県では、三重県いじめ防止条例を平成三十年に施行し、ネット上のいじめの問題を克服するために平成二十一年から実施している通常のネットパトロールとは別に、新型コロナウイルス感染症に関わる人権侵害や誹謗中傷等から守るため、令和二年五月十五日から令和三年の三月二十二日まで毎日平日に実施をいたしました。  それに加えて、三重県教育委員会は、SNSのいじめや不適切な書き込みを発見した場合に投稿できるアプリ、ネットみえ~るを開発し、令和二年六月二十三日から運用を開始いたしました。  学校名やその略称などキーワードを用いてインターネット上を検索するネットパトロールを行っていますが、SNSなどで閉ざされたやり取りや、学校名などのキーワードが記入されていない、いじめや不適切な書き込みは検知するのが難しいものでした。  そこで、ネットパトロールの対象から外れる書き込みについて情報提供してもらうためにアプリを開発したそうです。SNSで児童生徒に関わるネット上のいじめや不適切な書き込みを発見した、もしくはその投稿に気づいた場合に、その書き込みをスクリーンショットで撮り、その画像や被害に関すること、もしくは知っている情報を投稿すると、県教育委員会が管理するクラウド上に保存され、毎日平日、生徒指導課が確認をします。  投稿された画像や被害に関する情報から学校を特定できるものは、学校や市町村の教育委員会、警察などの関係機関と連携し、関係者への指導や書き込みの削除を行い、被害に遭っている児童生徒を守る対応や心のケアを行っております。  この取組により、三重県教育委員会から自治体教育機関への内容の情報公開により、教職員や子供たちや保護者にインターネットトラブルについての周知、啓発、抑止につながっているようです。  そこで質問をいたします。  自治体の教育委員会や小中学校の先生方もいじめについて真剣に考えておられますが、中でも、ネット上のいじめから子供たちを守るためにネットパトロールを積極的に行っていくべきと考えます。県の考えをお伺いいたします。  また、三重県のような取組は、子供たちのネット上のいじめに有効と考えますが、いかがでしょうか。教育長にお伺いをいたします。  続きまして、ジブリパークを生かした観光のブランド力強化について質問いたします。  本県は、二〇一四年十二月に二〇一五年をあいち観光元年とする宣言を発表し、製造業、モノづくりに加えて、観光を新たな戦略産業と位置づけ、具体的なプロジェクトに取り組んでいくことを明らかにいたしました。訪日外客誘致に向けたプロモーションと受入れ体制の強化、MICE、スポーツ大会を通じた誘客推進、民間活力の活用など、観光戦略を進めていました。  しかしながら、二〇二〇年初頭から進行した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は社会経済に大きな影響を与え、観光業界を含め類を見ない未曽有の状況に見舞われ、大きなダメージを受け、明るい兆しが見えてきている現在も、新型コロナウイルス感染防止対策に県、市町村、医療関係者、事業所、県民の皆様と一丸となって取り組んでいるところでありますが、今もなお厳しい状況であります。  あいち観光戦略二〇二一─二〇二三では、リニア中央新幹線開業後の二〇三〇年頃までを展望しつつ、本県が目指す観光の姿をあいち「ツウ」リズムを推進し、独自の強みを発揮する観光県とし、施策実施の指針として掲げております。  その戦略において、本県の観光振興に活用していくプロジェクトの一つと位置づけられているのがジブリパークであります。スタジオジブリ作品の世界観を表現した唯一無二の公園施設であるジブリパークが愛・地球博記念公園に二〇二二年秋の開業及びおおむねその一年後の二〇二三年の同パーク全面開業に向けて整備事業が進んでおります。  愛知県が進めるこのビッグプロジェクトは、コロナが終息した暁には本県にとって観光集客の起爆剤となり、県民の皆様はじめ国内外からの多くの皆様に笑顔あふれる日々を提供できることと思います。そして、このジブリパークが起点となり、県内の各観光地に県外、さらには国外の観光客が足を運び、県内観光地の活性化が経済を盛り上げることと期待されているところであります。  十月に大村知事が半田市にお越しになった際も、ネット検索で視聴ができるアプリでも世界中のファンの方からジブリ作品が何百万回も視聴されているほど人気があり、大変期待しているとお話をされておりました。  ここで、少し本題に入る前に、半田市の観光PRを幾つかさせていただきます。  半田市には、毎年春に行われる江戸時代から受け継がれる山車祭り文化があり、三月の乙川地区の祭礼から始まり、春の祭礼の締めくくりとなります五月四日のユネスコ無形文化遺産の亀崎潮干祭を合わせ、十地区三十一両の山車がまちを活気づかせてくれています。令和四年開催予定の第九回はんだ山車まつりもコロナ禍で中止となりましたが、改めて令和五年に開催が決定されました。  次に、半田運河です。北海道の小樽運河、宮崎県の堀川運河と並ぶ日本三大運河の一つとされる半田運河には、ミツカンミュージアム、國盛酒の文化館など、醸造の歴史を知ることができる博物館があります。江戸時代以来、知多の酒や酢、木綿などを江戸へ送り出した運河でした。今も一帯には黒板囲いの醸造蔵が立ち並び、輸送基地として栄えた半田の繁栄をしのばせる風景が広がっております。特に下半田地区祭礼の宵宮──夜のお祭りなんですけど──でちょうちんをつけた山車と人々と運河の町並みなどのコントラストは圧巻です。  次に、童話作家、新美南吉についてです。  半田市で生まれ育った童話作家、新美南吉生誕の地としても知られ、中でも、美智子上皇后様もお好きな郷土愛あふれる童話、ごんぎつねの舞台となった岩滑地区の矢勝川の周辺には、三百万本ものヒガンバナが有志によって植えられました。毎年秋には、満開の赤いヒガンバナを見るために多くの人が新美南吉記念館を訪れ、童話の世界そのままののどかな里山風景が広がる川辺をのんびりと散策する最適なエリアとなっております。  最後に、横浜赤レンガ倉庫や日本橋装飾部の設計をした明治建築界の巨匠、妻木頼黄により一八九八年(明治三十一年)に建てられた半田赤レンガ建物があります。二〇〇四年に国の登録有形文化財、二〇〇九年には近代化産業遺産に指定されており、明治時代に建てられたれんが建造物としては、日本のれんが建物の中の五本の規模に入ります。今では半田市の貴重な産業遺産、半田運河と新美南吉記念館の中間に位置する観光の回遊拠点となっております。  それでは、本題に入ります。  スタジオジブリ作品の中で、この愛知の地が現れる場面があることは御存じでしょうか。その作品は、二〇一三年に公開された、風立ちぬという作品であります。主人公の堀越二郎が就職のために名古屋駅に降り立つ場面であります。この場面がジブリ作品では愛知県に関する場面で唯一であります。議長にお許しをいただきましたので、お見せしたいと思います。     〔パネル図を示す〕  これが名古屋駅ですね。名古屋駅前のジブリ作品の風景であります。それから、これが名古屋駅の写真ですね。  ちなみに、常識の範囲で御自由にお使いくださいと言われておりまして、鈴木敏夫プロデューサーの作品の一つでございますので御安心ください。  スタジオジブリ作品で唯一、愛知県に関連する、風立ちぬの一場面で名古屋駅前の風景の中で時代背景を思わせるカブトビールの広告塔が象徴的に描かれ、そのカブトビール工場が今でも私の地元、半田市に当時の姿そのままに残っております。  当時、カブトビールは、北海道のサッポロビール、東京のヱビスビール、横浜のキリンビール、大阪のアサヒビールと肩を並べ、この中部地区のビールとしてミツカン先代の中埜又左衛門氏と盛田酒造の先代、盛田善平氏が共同で立ち上げたビール会社でありました。それが先ほど説明いたしました半田赤レンガ建物であります。  また、名古屋市東区にある徳川美術館所蔵の米騒動絵巻にも、大正期の名古屋のあちらこちらにカブトビールのビアホールがあったこともうかがわれます。  米騒動とは、一九一八年(大正七年)に起こった米の価格の急騰に伴う暴動事件、米騒動のことです。全国の米騒動の流れが名古屋にも波及しました。大正七年八月九日から十六日に起こった名古屋の米騒動の現場に、まだ二十代で、先生の下で研さん中の日本画家、桜井清香が行き、騒動の様子をつぶさに書き留めたものを、その後、絵巻として徳川美術館に寄贈したものが米騒動絵巻です。この絵巻は、度々歴史の教科書に取り上げられました全長四十メートル近い絵巻であります。  米騒動絵巻の中にカブトビールのビアホールが登場しています。一つは、栄のいとう呉服店の道を挟んだ向かいのビルの壁にカブトビールの立て看板、もう一つは、泥江橋前の氷の販売所だと思うんですが、一階にカブトビールの横看板があり、キリンビールやサクラビールも出てきますが、当時、名古屋では、カブトビールは地元のビールとして大きなシェアを持ち、あちこちにカブトビールのビアホールがありました。つまり、名古屋駅前の風景の中で時代背景を思わせるカブトビールの広告塔が象徴的に描かれたのは、当時の名古屋のイメージに合致し、地元のビールとしてなじんでいたものと推察できます。  半田市では、ジブリパーク完成前に今年度事業として、風立ちぬに出てくるカブトビールの広告塔を原寸大で復元いたします。議長にお許しいただきましたので、お見せいたします。     〔パネル図を示す〕  これですね。この広告塔が半田の赤レンガのところに立ちます。この後ろが半田の赤レンガですね。これが赤レンガです。  特に赤レンガ建物は、復刻されたカブトビールとともにジブリパークを生かした観光振興の有力な武器になるものと考えます。半田市と同様に、本県には各地に魅力ある多くの観光資源があります。  二〇一八年に本県での開催が四回目となる愛知デスティネーションキャンペーンが行われました。デスティネーションキャンペーンとは、JRグループ六社、旅行会社が協力して実施する大型観光キャンペーンで、開催地を集中的にPRし、全国から鉄道を使った送客により地域を活性化するものであります。  二〇一九年十月から十二月までJR東海と連携の下、愛知デスティネーションキャンペーンのアフターキャンペーンを開催し、「未来クリエイター愛知~想像を超える旅へ。~」をテーマに本県の魅力を十分に楽しんでいただける企画やツアーを幅広く提案し、県外からの集客に努められました。  改めてですが、先ほどお見せした、風立ちぬという作品の中に出てくる主人公の堀越二郎が就職のために名古屋駅に降り立つ場面でありますが、笹島の名古屋駅の場面は、今後の愛知にしかないツウな価値に出会い、感動レベルの体験ができる旅をPRできるチャンスではないでしょうか。  幸いにも、半田市を通るJR武豊線は日本でも最古の単線区間であり、鉄道が好きな私にとっても大変うれしいキャンペーンになると思われます。ジブリパーク開業を契機として、そうした観光の魅力を積極的に発信し、観光地としての愛知のグレードを高めていくことが重要であります。  そこでお尋ねします。  ジブリパークの開業に向けて、愛知の観光の魅力を積極的に発信してブランド力を強化し、県全体で観光集客を拡大していく必要があると考えますが、県の認識と取組の方向についてお伺いいたします。  以上で壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 37: ◯教育長長谷川洋君) 小中学校のネット上のいじめへの対応についてお答えいたします。  ネットパトロールにつきましては、本県教育委員会でも県立学校においてインターネットの検索、監視を定期的に行い、インターネットを介したいじめやトラブル等に対する未然防止、早期発見、早期対応に努めておりまして、これまで不適切な個人情報の削除等の効果を上げております。  こうしたことから、ネットパトロールは不特定多数の人に公開されるツイッター等のソーシャルメディアには一定の効果があると認識をしております。  また、議員お示しの三重県が導入しているネットみえ~るは、不適切な書き込み等に気づいた方がその書き込みの画像や情報を投稿できるアプリでありまして、ネット上のいじめに対する抑止力が上がると思われます。  県教育委員会では、このようなICTを活用したいじめ対策は有効だと考えておりますので、今後さらに研究を進めるとともに、取組が有効に活用された事例について、各市町村の生徒指導担当の指導主事が集まる会等で情報共有をしていきたいと考えております。 38: ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) ジブリパークを生かした愛知の観光ブランド力強化についてお答えします。  本県は、歴史、産業、自然、文化など多様な地域資源を有していることから、観光のブランド力の強化に向けて、その魅力を積極的に発信し、観光振興に活用していくことが重要であると認識しております。そしてまた、二〇二二年秋のジブリパーク開業を機に観光地としての愛知の認知度を高めていくことが必要であります。  ジブリ作品にも登場するカブトビールをはじめ、県内の様々な地域の魅力を国内外に広くアピールしていくことで観光誘客の拡大につなげてまいりたいと考えております。  具体的には、観光関連事業者などがジブリパークの来場者の属性などに応じて的確にインターネット広告を配信できるシステムの整備を進めており、デジタルを活用した効果的な情報発信の仕組みを構築します。  また、スタジオジブリの監修により、ジブリパークのある愛知をイメージしたデザインや動画を制作し、本県や市町村、観光関連事業者などが行う観光誘客の取組に活用してまいります。  ジブリパークのある愛知をテーマに地域が一体となって効果的なPR、プロモーションを展開していくことにより、本県の観光のブランド力を強化して国内外から多くの旅行者を呼び込み、その効果を広く県内に波及させてまいります。 39: ◯知事大村秀章君) 朝倉浩一議員の質問のうち、私からも、ジブリパークを生かした観光のブランド力強化についてお答えをいたします。  観光関連産業は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化によりまして大きな打撃を受けておりますので、ポストコロナに向けて、観光の再生から新たな成長へと道筋をつけていく必要があります。  そうした中で、二〇二二年秋のジブリパークの開業は、国内外から大きな注目を集め、観光誘客を拡大していく絶好の機会となりますので、そのインパクトを追い風として、本県の観光をさらに伸ばしてまいりたいと考えております。  カブトビールや半田赤レンガ建物をはじめ、本県の魅力ある観光コンテンツを最大限に活用し、ジブリパークのある愛知として観光のブランド化を推進することで、地域が一体となって本県の観光を大いに盛り上げ、新たな飛躍につなげてまいりたいと考えております。 40: ◯十九番(朝倉浩一君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。  ジブリパークを生かした観光のブランド力強化については、大村知事に御答弁いただきましたので、よろしくお願いします。  それでは、要望をさせていただきます。  小中学校のネット上のいじめについては、子供たちの心身の健全な発達に深刻な影響を及ぼす許されない行為であり、先ほども申し上げましたとおり、子供の人権に関わる大変な問題であります。  会員制交流サイト、SNSなどのネットパトロールでも難しい事案や、三重県のネットアプリも含めて、大変な開発費や保守料がかかると思います。そこに費用対効果を求めるものではないと私は考えます。  御家族、地域の皆様、学校関係、警察、全ての方々も含め、社会全体で子供を見守るようになれば、ネット上のいじめなど様々な問題の抑止につながる効果が得られると私は考えます。それが本当に大切だと思います。  本県も、県内の自治体、教育機関とネット上のいじめに関する事案についてしっかり連携を取っていただき、ネットパトロールやアプリ、ポータルサイトの見守りを含めて、一刻も早く御対応いただけますよう強く要望して、終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 41: ◯四十一番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 42: ◯副議長近藤裕人君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 43: ◯副議長近藤裕人君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時四十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 44: ◯議長坂田憲治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  杉浦正和議員。     〔六番杉浦正和君登壇〕(拍手) 45: ◯六番(杉浦正和君) 質問に先立ちまして、さきの九月議会にて我が団の島倉幹事長が質問された県政情報を伝える場としての県民事務所での議会中継放映につきまして、早速、東三河総合庁舎の一階にテレビモニターが設置され、本議会からライブ中継が開始されました。当局の迅速な対応に心から感謝申し上げます。  今後、多くの県民の皆さんが視聴されることを期待申し上げ、一般質問を始めさせていただきます。  農福連携の在り方について。  近年、担い手不足や耕作放棄地といった農業分野の課題と、障害者の就労の場の確保や工賃向上といった福祉分野の課題を、両者の連携を通して解決しようとする農福連携のニーズが高まっています。  かつては、農業の持つ療養やレクリエーションといった効果への期待がありましたが、近年は、障害者の新たな就労の場として農業を活用していく動きが活発化しています。  農福連携には様々な形態があり、一つ目として、農業経営体が障害者を雇用する形、二つ目として、農業経営体が福祉事業所に農作業を委託する形、三つ目といたしまして、福祉事業所が農業参入する形、四つ目といたしまして、企業が障害者雇用と農業参入する形、そして最後に、NPO、団体等による農福連携の取組の形などが挙げられます。  今回は、このうちの農業経営体が障害者を雇用する形と、農業経営体が福祉事業所に農作業を委託する形について議論してまいりたいと思います。  まずは、後者の農業経営体が福祉事業所に農作業を委託する形についてであります。  愛知県では、既に二〇一九年にあいち農福連携推進協議会を設立し、農福連携セミナーや農業ジョブコーチ養成研修の開催、農福連携相談窓口の設置などにより、農福連携の理解促進や取組の拡大を支援しております。  この中でも、農福連携相談窓口は、JA愛知中央会が運営をしており、コーディネーターを配置し、農業経営体と福祉事業所等の農作業委託、いわゆる施設外就労のマッチングを進めております。マッチングの様子は愛知県のホームページでも紹介されており、今回、その事例の一つであるJAひまわりにおける農福連携マッチング事業について取材してまいりました。  JAひまわりでは、中央会の下部組織として農福連携を進めているとのこと。現在は、スプレーマム農家が福祉事業所四か所と連携しています。二〇二〇年三月からスプレーマムの挿し芽作業を農福連携の事業として、農家から福祉事業所に委託する形でマッチングを開始。運営を開始する前には、JAの担当職員が中心となって、農業経営者や福祉事業者と作業の選定、作業報酬の妥当性を幾度となく打合せをし、作業といたしましては挿し芽作業を、報酬としては挿し芽作業一本につき〇・八円の単価を設定することとなりました。この単価を時給換算すると約二百八十円から三百円ほど。
     就労される障害のある方の基準につきましては、重度、適性を勘案して福祉事業者側が決めることとなっており、その点について農業経営側と利用者が直接話をすることはないそうであります。また、作業指示についても、農業経営者から福祉事業者のほうへ指導をし、それを理解した事業者が利用者に対して指示を出すといった仕組みとなっています。  運営実績はといいますと、開始当初、スプレーマム農家六軒が委託していたのが現在は二軒。その理由といたしましては、作業場のスペースの確保が困難であること、作業日程の調整が難しい、就労環境が万全でない。例えば簡易トイレの未設置などが挙げられ、結果、シルバー人材などの活用に需要が流れたとのことでありました。  JAひまわりでは、ほかの作物、これはイチゴの定植時期の苗の運搬などでの農福連携を進めようといたしましたが、時期が限られること、あるいは体力がある利用者でないと続かないという理由で断念。現在はオオバの袋詰めを検討中とのことであり、農家との農福連携のほかに、JAの育苗センターにおいても、スプレーマムの挿し芽作業を委託しているそうであります。  課題につきましては、周知不足もあり、農業者側の有益性の理解が得られず、広がりがないこと。障害者が同じスペースにいることに対して気を遣うでありますとか、ほっとけないなどという農業者側の先入観があること。そして、作業品質に課題があるなど。もちろん、先ほど述べました労働環境がトイレの未設置で万全でないこともその一つに挙げられます。  私の所感ではありますが、関わる人間の数とノウハウ、いわゆる事例の集積、こういったものが限られているため、委託化するまでに多くの時間と労力が必要であること、ほかのJAの単協では作物が限定されているため、再現性が低いこと、これが課題であると思いました。  さて、ここまでは愛知県が関わる農福連携の事例を紹介させていただきましたが、実は民間でも農福連携が進んでおります。  次は、民間の農福連携の事例を紹介させていただきたいと思います。  民間で現在活躍中なのは、株式会社アグリトリオ。こちらの会社、我がまち豊橋に所在する会社であります。  株式会社アグリトリオは、車の部品を製造している親会社、武蔵精密工業内の新規事業コンテストから生まれた農業用求人システムの運用開発を手がける会社であります。創業は二〇二〇年。農業用求人システムを運用しながら、農福連携事業にも進出。これまで各ビジネスプランコンテストを受賞し、数多くのメディアにも取り上げられています。  こちらの施設外就労の仕組みは、農ケアといいまして、あらかじめ作業をマニュアル化したものをマッチングしていきます。  手順はと申しますと、まずは福祉事業所側が施設情報、担当者の情報、障害種別、パスワード、自己紹介を入力します。これもスマートフォンでできます。その後、あらかじめ農家側から依頼のあった作業をインターネットで検索。その中から利用者に合った作業を選んで応募、作業を確定した後、圃場に行って作業し、報酬を受け取るといった流れになっております。  特筆すべきは、これらの作業内容が全てマニュアル化されており、動画や画像つきの資料で事前に作業の勉強ができるという点であります。マニュアル化されているため、まるで商品を選ぶように作業を選ぶことができ、農家、福祉事業所の利用者双方にストレスがなく、作業を完結できる仕組みになっております。  こうした仕組みにより、現在では農家三十軒が登録、福祉事業所も二十か所が登録されており、二〇二〇年度、マッチング件数四百件、延べ千三百人の利用。さらに、今年度は既にマッチング件数二百件以上、延べ九百人を超え、昨年度を上回る成績を残そうとしています。  また、障害者の皆さんに農作業の触れる機会を増やしたことで作業効率も向上し、工賃が時給二百円のところが五百円程度まで上昇した事例もあり、さらには直接雇用といった事例も一件達成することができました。リピート率も九割を超えています。  しかしながら、こうした取組にも課題は存在いたします。  その一つは、農業経営者側が積極的に農ケアという仕組みを取り入れようとする意識が薄いということであります。  健常者の作業委託も同様に運営しているのですが、障害者を雇うことに周りから偏見の目で見られるのではないか、こういった意識もあって、健常者への作業委託の約一〇%から一五%程度の利用にとどまっています。  また、利用機会の創出についてもまだまだ拡大できる余地があるようです。  例えば、県内JAとの連携。この十一月にJA豊橋との連携は締結されましたが、県内のほかのJAとはいまだ締結されておりません。ほかにも、直接JAとの連携とは言わなくても、各市町村との連携がもっとできれば。具体的には、農福連携推進協議会のような組織が各市町村に用意されていない地域もあり、そうしたことが事業拡大の難しい要因であるとも代表者の方が話されておりました。地域段階での取組が課題であるように思います。  さて、このように二つの事例についてお話ししてまいりました。  JAひまわりの事例は、中央会が窓口となって各県内単協との連携ができていますが、現場での農福連携を実現していくには、情報とノウハウがないため、多大な労力と時間がかかっているように感じます。  一方で、アグリトリオの取組はマニュアル化しているため、農家、福祉事業所に対して負担が少なく、二〇二〇年度には豊橋市で農福連携推進事業マッチングも受託されています。  地域段階での取組をスムーズに実施していくためには、現場でフットワーク軽く動く民間の活力を相談窓口にして、農業団体と連携する体制を構築すれば、農福連携はこれまで以上に進むと考えられます。  そこで、このように相談窓口をアグリトリオのような民間に委託することが望ましいと考えますが、愛知県の今後の取組についてのお考えをお伺いいたします。  また、アグリトリオの実績から考察すると、一度農福連携を体験した農家の約九割がリピーターとして委託していることから、まずは農福連携を農家に体験してもらうことが必要だと考えます。静岡県では、一マッチングに対して一時間当たり五千円、上限十万円が農業経営体に補助として支払われているとも仄聞しております。  そこで、先述した課題であります農福連携における農業者側の理解の深化と併せて、愛知県として農業経営体側にどのようにして農福連携の理解を深め、そして、その機会を創出していくお考えか、お伺いさせていただきます。  さて、これまでは農業経営体が福祉事業所に農作業を委託する形についてお話ししてまいりましたが、農業経営体が障害者を雇用する形についても触れておきたいと思います。  農業経営体が障害者を雇用する形は、農福連携の最終目標とも言えます。障害者にとって日常として働くことができて、相応の給与がもらえる、自立ができるといったことは、本人及び御家族の願いであるとも言えます。こうした最終目標を達成している企業が浜松市にある京丸園株式会社という農業法人であります。こちらも今年の五月に視察に行ってまいりました。  京丸園株式会社は、農福連携という言葉が生まれるはるか二十年以上も前から実践している会社であります。主力品目は、水耕栽培によるミニサイズの野菜、京丸姫ねぎ、京丸姫みつば、京丸ミニちんげんなどというブランドで、地元JAを通じ、全国の四十か所の卸売市場に出荷しています。  こちらの商品を生産し出荷しているのは、常時雇用の障害者二十四名をはじめ、女性、高齢者を含む総勢百名から成る従業員の皆さん。京丸園は、単に農業と福祉が抱える課題を解決しようと農福連携に取り組んでいるわけではありません。同社は、農業を元気に、そして強くすることに主眼を置いております。  ただし、同社が福祉をないがしろにしているわけでは決してありません。障害を持つ人たちに戦力になってもらい、売上高や生産性が上がってこそ安定的な雇用が可能になる、そんな農業を同社は実践してきており、障害のある従業員を一九九六年に雇用して以来、売上高は順調に伸び、生産性も向上しています。福祉の人々の力を借り、農業を強くする。これが京丸園流の農福連携であります。  京丸園流農福連携には幾つかの特徴があります。  一つは、仕事の分解であります。  鈴木厚志社長は、農業にはいろんな仕事がある、その点で障害を持つ人との親和性は高いとお話しされていました。ただ、従来の農業のやり方そのままでは親和性を生かすことはできない。そう考えた鈴木社長は、業務や作業を細かく分解し、この部分ならこういった障害を持つ人に適しているのかもしれない、この仕事はむしろ障害を持つ人に向いていると、仕事と従業員をマッチさせていったそうであります。今ではマッチングをする専門の従業員もおり、福祉分野でのキャリアを持つ人が担当しております。  二つ目に、仕事や作業の具体化であります。  このトレーをきれいに洗ってください。たっぷり水やりをしてください。生産現場では当たり前に使われる言葉でありますが、きれい、たっぷりという表現は実に曖昧で、受け取る人によって作業の仕方には幅ができてしまいます。このため、同社では、トレーを表と裏でそれぞれ三回ずつ洗ってください、水を三秒数えながらあげてくださいと具体化しました。さらに、この方法を健常者にも適用したところが京丸園の特徴的な点であります。これにより従業員間の作業のばらつきが減り、野菜の生育がそろって商品率がアップするなど、生産性向上につながったそうであります。  農福連携を農業と福祉の連携に終わらせず、農業の課題解決に結びつけていく。この発想こそ農福連携を持続させていく鍵だと思います。  また、鈴木社長はこうも言っておられます。GAPとユニバーサル農業、──ユニバーサル農業とは、障害者などを含む全ての多様な人々が従事できる農業──これは相性がいいんだと。GAPとは、農業生産工程管理のことをいい、その目的は、農産物の安全を確保し、よりよい農業経営を実践する取組であります。東京オリンピック・パラリンピックで提供する食材の要件とされたこともあり、販売への優位性が語られることの多いGAPでありますが、その実は労働安全、人権保護や農場経営管理の農業経営の改善が主なものであります。  また、GAPを推進することにより、品質の向上、資材の不良在庫の削減、作業時間、作業事故件数の改善、欠品や在庫の減少など、生産性の向上にも寄与することが分かっております。  また、さきに述べた仕事の分解につきましても、GAPの取組がいい影響を及ぼしていることは容易に想像できます。  そこで、農業経営体がGAPに取り組むことが農福連携をさらに推進する鍵となると考えますが、愛知県のGAPに対する考え方と、いかに農業者に普及していくのかについてお伺いいたします。  続きまして、本県における要保護児童の一時保護体制についてお伺いいたします。  昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、学校休業や外出自粛などによって児童虐待や家庭内暴力が潜在化するのではないかと懸念されておりましたが、令和二年度中に全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は二十万件を超え、過去最多を記録したところであります。  また、愛知県においては、二〇一九年度は六千四十五件、二〇二〇年度は六千十九件とほぼ横ばいとなっているものの、依然として高い水準で推移しております。  国による法改正や対策強化が講じられているにもかかわらず、虐待によって亡くなる児童の数に大幅な減少は見られず、ネットニュースや新聞報道等においても頻繁に虐待の事件を目にするところとなっております。  こうした虐待ケースについて、児童相談所が児童を一時保護する場合には、保護者との間で様々なトラブルも発生しているところであり、現在、厚生労働省においては、児童相談所による一時保護について、裁判所が関与する新たな制度の導入を検討し、法改正に向けた議論を進めております。  また、児童を一時保護するケースは児童虐待の事案に限りません。保護が必要となる要保護児童の要因といたしましては、保護者の病気による場合や家族との不仲による児童の家出、児童自身の非行行為など様々であります。昨年度の愛知県児童相談所における一時保護件数二千六百四十六件のうち、虐待以外の事案は千三百六十二件と全体の五二%を占めておりました。  一時保護される児童の保護先といたしましては、基本的には、県が設置する一時保護所か、乳児院、児童養護施設などの社会福祉法人が運営する民間施設や里親が選択肢として考えられるところであります。  また、県が設置する一時保護所については、所在地を秘匿するなど、虐待していた保護者からの追及等を逃れることや、虐待を受けた児童の状況を経過観察するなど、難しいケースに対応していく役割を持っております。  一方、民間施設や里親については、保護される児童にとっても通い慣れた学校への通学も可能な場合もあるなど、児童の保護前の生活に合わせたより柔軟な対応が可能となっていると認識しております。  一時保護される児童にとって、どこの保護先がふさわしいのかは、それぞれの児童が置かれている状況によっても違うため、ケース・バイ・ケースであると思いますが、保護される児童にとって何が最もよいか、児童の最善の利益を尊重することは一貫して考えるべきであると思います。  したがいまして、一時保護の際には児童相談所の持つ一時保護の権限が重要であることは言うまでもありませんが、一時保護される児童が保護される環境も児童の立場からすれば大変重要なことであると考えます。  一時保護所における入所率が一〇〇%を超えるような状況ではありませんが、一時保護先がすぐには見つからずに、定員枠の空きがある施設や里親などを探して、何とか保護先を確保している場合があると聞いております。  一時保護される児童にとって、どんな環境であれば安心して過ごすことができるかは、児童相談所が児童の意見を聴いて、その児童にとって最も適した一時保護先を確保しなければならないと考えます。  また、一時保護される児童を一くくりに整理できるものでもありません。それぞれに年齢の違いや性別、国籍、障害の有無などの違いがあります。また、性的虐待の被害を受けた児童、深夜徘回や非行などを繰り返した児童、刑事事件を起こしてしまった児童、親を亡くしてしまった児童、兄弟で一時保護される児童など、一時保護になっている事情や背景も一人一人違うはずであります。  さらに、一時保護の期間が長くなるのか、短いのか。場合によっては一時保護の期間中に一時保護先が変更されることもあると聞いており、一時保護されている児童は、この先自分自身がどうなっていくのか、説明を受けたとしても全ての不安が消えるわけではありません。  このようにして考えますと、できるだけ一時保護する児童に適したふさわしい場所を最初から用意できれば、児童にとってはよりよい支援になるはずであります。そのためには、先ほど述べた主な一時保護先である県の一時保護所、民間施設、里親、そのいずれにおきましてもある程度の余裕が必要ではないかと考えますが、県の一時保護所を増やしていくことは、財政負担や人員確保の理由から現実的には難しいことは理解できます。  一方で、民間施設の中には、一時保護専用の定員枠を確保している施設もあるため、こうした一時保護専用施設を増やすことが一時保護される児童に適した一時保護先を確保することにつながるのではないかと考えます。  今回、この質問をするに当たり、私は、豊橋市内の児童養護施設等で一時保護についてお話をお伺いしてまいりました。乳児を一時保護する場合には、里親による一時保護が環境としても適しているともお聞きしておりますので、里親を増やす取組とともに、養育経験のある里親が増えるための支援についても考える必要があるように思います。  このように、県内において一時保護される児童がそれぞれの特性や背景、事情の違いに適した環境で保護されるためには、民間施設による一時保護専用施設や里親を増やす必要があるのではないかと考えます。  そこでお尋ねいたします。  児童の最善の利益を確保する観点から、県内における一時保護体制の現状と今後の充実に向けた取組についてお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 46: ◯農業水産局長(中根俊樹君) 農福連携の在り方についてのお尋ねのうち、初めに、相談窓口についてでございます。  本県では、二〇一九年度にJA愛知中央会に委託して農福連携相談窓口を設置し、農業者や福祉事業者のニーズの把握やマッチングを行ってまいりました。  農業者からは、障害者の方々に農作業を細分化、単純化して任せれば貴重な戦力になることや、福祉事業者からは、障害者一人一人の特性に応じた農作業であれば集中して取り組めるということが徐々に認知されてきました。  今後、さらに取組を拡大するためには、作業を簡易にマニュアル化する技術や、作業を分かりやすく提示できるような民間ノウハウの活用が重要と考えられますので、来年度から相談窓口をノウハウのある民間団体等に委託することも検討してまいります。  次に、農福連携への理解促進についてでございます。  県では、農福連携への理解促進と取組の拡大に向け、二〇一九年度から農業者や福祉事業者、行政関係者などを対象とし、農福連携のメリットや国の補助制度、取組事例を紹介するセミナーを毎年開催しており、三年間で約三百名が参加されております。  さらに、二〇二〇年度は、農福連携を実践しようとする人を対象として、農福連携で農作業に取り組むときの工夫や障害者との接し方など、実践的な内容の研修を三回実施し、約八十名が参加しました。  また、農福連携の優良事例や農作業を分かりやすく紹介する動画を作成し、ユーチューブチャンネルを通じて発信するとともに、事例集としてまとめて、市町村や関係機関に配付するなどしてPRに努めました。  こうした取組の結果、事業を実施する前の二〇一八年度には、農福連携に取り組む農業者や福祉事業者の数は約六十でございましたが、現在は約百四十となり、着実に増えてきております。  今年度は、引き続きセミナーの開催や農福連携の優良事例のPRなどを行うとともに、新たに農作業の現場で障害者の方々をサポートできる人材の育成を行っております。今後は、こうした人材を派遣して、農業者や福祉事業者に助言するなど、現場での支援に活用してまいります。  また、地域に密着した農福連携の取組がさらに進むことが望ましいと考えておりますので、市町村や地元のJAなどが連携し、地域ごとに農福連携推進協議会を設置するなど、体制の整備が行われるようサポートし、農福連携の機会を創出してまいります。  最後に、GAPについてでございます。  GAPとは、農業における生産工程管理の取組であり、日頃実施している農作業を細分化して記録し、改善点を見いだしていく手法でございます。  農業者がGAPに取り組むことにより、失敗のない生産管理、労働安全の確保、農業者自身や従業員の経営意識の向上につながるといった効果を見込むことができるため、農業人材の育成や競争力の強化にも有効と考えております。  また、GAPに取り組むことで作業の切り出しを進めることが容易となり、障害者が担える作業部分や責任分担を明確にすることができるため、農福連携の取組の推進にもつながるものと考えております。  県では、国が策定したGAPガイドラインに基づいて取組を進めておりますが、このガイドラインは、取組の説明において専門用語が多用されており、初めてGAPに取り組む農業者にとってはハードルが高いものとなっております。  このため、GAPに取り組む窓口を広げる資料として、本県の農業現場に導入しやすいように、国のガイドラインの取組をより具体的に記述した愛知県版点検シートの作成を行いました。  また、農業団体と共に愛知県GAP推進会議を設置して効率的な推進方策を協議するとともに、二〇一七年度以降毎年、県職員、農業高校教員及びJAグループ職員に研修を受講してもらい、GAPに関する指導を行うことができる人材を現時点で約二百名育成しました。  今後は、さらに人材の育成を進め、研修会や個別の経営指導を通じ、この愛知県版点検シートの活用機会を増やして、農業者にGAPの考え方を御理解していただき、取組の拡大を図ってまいります。 47: ◯福祉局長岡本範重君) 要保護児童の一時保護体制についてお答えします。  保護を要する児童の安全確保や適切な養育を行うため、一時保護体制の充実を図ることが大変重要であると認識しております。  本県では、現在、尾張地域及び三河地域の二か所に定員合わせて七十八名の一時保護所を設置しております。さらに多くの地域で一時保護ができるよう、東三河地域や知多地域など五か所の児童養護施設に定員合わせて三十名の一時保護専用施設を設置しているところでございます。一時保護専用施設は今年十月に一か所増やしたところであり、今後とも県内各地に設置できるよう児童養護施設等に働きかけてまいります。  また、乳幼児や集団生活が苦手な児童などをより家庭的な環境で養育できるよう、里親による一時保護も推進しているところであり、二〇二〇年度の里親への一時保護件数は二百十件で、過去五年間で四八%の増となっております。  今年度からは、全ての児童相談センターに里親養育支援を行う専門職員を配置し、里親宅で養育に関するアドバイスを行うとともに、里親支援研修において一時保護をテーマとした講義を実施するなど、里親の資質向上を図っているところでございます。  県としましては、今後もこうした取組を着実に推進し、児童の適切な保護が行われるよう一時保護体制の充実を図ってまいります。 48: ◯六番(杉浦正和君) 農福連携につきましても、もう一つの一時保護体制につきましても、前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。  一点だけ、農福連携について要望させていただきたいと思います。  先ほどもお話しさせていただいていますように、農福連携推進の肝というのは、やっぱり農業者側にあると思います。農業経営者が企業的経営を実践しているかどうか、福祉を受け入れる体制ができているかどうか、そして、障害者を活用することに抵抗感がないかどうかであると思います。この前者二つ、企業的経営、あるいは福祉を受け入れる体制、これにつきましては、先ほど御答弁がありましたように、GAPの推進がその役割を果たしていくんだろうと思います。  しかし、障害者へ委託することに対しての抵抗感につきましては、やっぱり体験でしか払拭できないんだろうと思います。そうした意味におきましても、農業者がまずは障害者を活用してみようと思う誘導策が必要であると思います。  現在、愛知県では、中央会に委託した費用の中から中央会が独自に農業経営体に一マッチング五千円の金額が支払われていると聞いておりますが、ぜひとも他県のように愛知県として農福連携をさらに推進させるための補助の検討をしていただきたいと思います。要望して、私の質問を終わります。 49: ◯議長坂田憲治君) 進行いたします。  鳴海やすひろ議員。     〔十七番鳴海やすひろ君登壇〕(拍手) 50: ◯十七番(鳴海やすひろ君) 初めに、地域公共交通への支援について伺います。  人口減少、少子・高齢化社会の進展とともに、都市一極集中と地方の過疎化が続いており、生活交通の維持は年々厳しくなっております。加えて、新型コロナウイルスによる移動自粛やテレワークの推進により、さきに発表された主な鉄道会社の九月中間連結決算でも多くの会社が赤字となるなど、公共交通を取り巻く環境はさらに厳しさを増しております。  しかし、利用者が半分になったからといって運行本数を半分にするわけにはいかず、厳しい中でも社会的使命を果たすため、日々頑張っておられる事業者の皆様、今日は傍聴席のほうにも来ていただいておりますが、こうした皆様からいただいた多くの声をお伝えしながら、今後、地域公共交通を支えていくために、県としてどのように取り組んでいくのか、お聞きします。  一つ目は、公共交通に対する今後の支援についてです。
     県では、国の地方創生臨時交付金を活用し、コロナ禍にある鉄道、バスなどの交通事業者に対して、感染拡大予防や運行継続のための支援を実施されてきました。  また、県が開設した新型コロナウイルスワクチン大規模集団接種会場へのシャトルバスの運行委託なども、交通事業者への支援に結びついていると認識しています。  一方で、市町村においても、この交付金を活用して交通事業者を支援する取組が様々に行われておりますが、残念ながら市町村間での温度差が生じており、また、利用者の回復が不透明で先が見えない中、移動の自粛要請や各種制限は段階的に緩和となっているものの、本格的な経済活動の再開には至っておらず、交通事業者は依然として厳しい経営状況が続いています。  利用者の回復が遅れている理由の一つとして挙げられるのが、公共交通利用における感染リスクに対する正しい理解が十分に浸透せず、必要以上に利用を避ける行動や心理的なハードルが上がったままとなっている点です。  特に、利用者の回復が遅れているバスの場合は、換気性能に大変優れた乗り物であることや、事業者が対策を徹底していることがあまり理解されていません。密や接触を避けるために自家用車を利用する傾向が多くなった影響で激しい渋滞が発生し、コロナ禍前よりも定時運行の確保が困難となっている時間帯があります。バスが遅れるから自家用車で移動することで一層の渋滞を招くという悪循環となっています。  また、乗務員やその家族に対する誹謗中傷も深刻な問題となっており、医療従事者などと同じエッセンシャルワーカーとして日夜県民の生活を支えてくださっている交通事業者の皆さんが、いわれのない誹謗中傷を受けることのないよう、正確な情報発信を行っていかなければなりません。  今後も利用者数が低迷し、ダイヤの減便や路線廃止などサービスが低下することとなれば、今後の経済活動の再開にとっても大きな足かせとなりかねず、そうならないために交通事業者を支援し、従業員が安心して働くことができる取組、具体的には、ウイルス感染に対する県民への正しい理解の浸透に向けた自治体からの正確な情報発信と、公共交通を利用してもらうための促進策を早期に展開すべきであります。  東三河県庁では、地域の観光資源の一つである鉄道遺産等の魅力を地域公共交通を活用しながら発信することを目的として、地元ガイドの案内による東三河浪漫鉄道旅を開催されており、大変好評だと聞いております。こうした利用促進の取組を県内の他の地域でも展開していただくとともに、より効果を上げるため、市町村と連携した取組を進めるべきと考えます。  そこで伺います。  交通事業者を力強く支援するため、正しい情報発信と公共交通機関の利用促進策について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。  二つ目は、無人駅の増加についてであります。  鉄道事業者は、原油価格の高騰や電気料金が高い水準となる中でも、消費税率改定に伴う運賃値上げを除き、初乗り運賃を何十年も引き上げられていません。こうした不断の努力にもかかわらず、沿線人口の減少により、利用者の少ない駅をやむを得ず無人駅に転換している状況です。  国土交通省の調査によると、二〇一九年度末の愛知県内の無人駅の割合は四八・四%と半数近くが無人駅となっています。無人駅の増加は、利用者が受けられるサービスの地域間格差の拡大をもたらしているのみならず、安全確保の面からも問題があると考えます。  今年のハロウィンの夜、東京の京王線車内で発生した放火刺傷事件は社会を震撼させました。その後も列車内や駅での事件が全国で相次いでおり、不安を抱きながら鉄道を利用されている方は多いのではないでしょうか。  こうした事件を受け、名古屋鉄道では、駅で働く職員の方が警察官からさすまたや防御盾についての指導を受け、実際に刃物を持った犯人から利用者を安全に避難させるとともに、自分の身を守るための訓練が行われ、昨日から名鉄名古屋駅と金山駅にさすまたと防御盾を配備されたそうです。  鉄道は、県民の日常生活や経済活動を支える重要なインフラです。そして、駅はまちの顔であり、まちづくりの根幹をなす施設であります。全ての方が安全に利用できるよう日々努力している従業員にとって、駅の無人化は路線維持のためとはいえ、断腸の思いで受け入れざるを得ない事態であることを御理解いただきたいと思います。  そこでお聞きします。  無人駅が増加する中、利用者の安全性の確保にどのように取り組んでいかれるのか、県の御所見を伺います。  次に、自転車を使用してのフードデリバリーサービスについて伺います。  新型コロナの影響による巣籠もり需要でフードデリバリーサービスは多くの人に利用されることになりました。今や社会インフラの一部として定着しつつあり、食事だけでなく日用品なども気軽に注文できることから、大変に便利なサービスです。  私自身も外出ができないときに利用したことがありますが、僅か十分程度で玄関先に、いわゆる置き配をしていただいたときに、今後大きく伸びていくサービスと実感しました。  こうした思いを抱く一方で、デリバリー車両の信号無視や車道の無理な横断、飛び出しなど悪質な走行によるトラブルの相談を受けることが増えてまいりました。路線バス、タクシー運転手の方からも、自転車を使用したフードデリバリー配達員の注意散漫な運転によりやむを得ず急ブレーキを踏み、乗客が転倒し負傷するなどの問題や、無理な擦り抜けによる車両と配達バッグの接触事故が多発しているそうです。ロードバイクといった速度の出るスポーツタイプの自転車を使用する配達員が多いことからも、自動車ドライバーにとっては精神的な負担が大きくなっています。  道路交通法の改正により危険運転に対する厳罰化が進み、県内においても過去三年間の自転車が当事者となる人身事故件数は減少し続けていますが、こうした配達員の業務中の事故という数字は、県警察も線引きをしておらず明らかではないものの、トラブルも含め増加していると感じています。  地方から都市部に出てこられた方や留学生、技能実習生といった東南アジアの人たちを中心とした外国人配達員も増加していると聞きます。不慣れな地域で個人宅やマンションを特定するのは容易ではなく、スマートフォンをナビとして使用し、画面を操作しながら運転することは極めて危険であることは言うまでもありません。  一部の配達員による危険運転により、フードデリバリーサービス業界全体に悪影響や誹謗中傷が及ばないよう、県としても、フードデリバリーサービスを提供する企業に対して注意喚起の呼びかけを強化すべきではないでしょうか。  フードデリバリーサービスを支えているのが、雇用契約ではなく業務委託契約の自営業者という位置づけなので、行政指導が難しいことは承知しますが、サービスを提供する大手企業が参加する日本フードデリバリーサービス協会などと協議の場を持っていただきたいと思います。  自転車を使用した配達員の無謀な運転により車体や歩行者との接触事故等があった場合も配達員への追跡は難しく、ドライブレコーダーの映像を見ても後ろ姿しか映っておらず、背負っているバッグに企業名が記載されていてもそれ以上は確認することができないため、泣き寝入りする事案がほとんどだと聞きます。  また、受注の多い店の前で多くの配達員がその場から動かずに注文を待つ姿はウーバー地蔵とも呼ばれ、通行者から迷惑との声が上がっております。私も地元の名古屋駅周辺の住民からそういった相談が寄せられるようになっております。  しかしながら、決して全ての配達員の方々を悪く言うものではありません。ほとんどの配達員がルールやマナーを守って働いていることだと思います。コロナの影響で大打撃を受けた観光バスのドライバーさんからは、コロナ禍における短期の副業として非常にありがたかったとの声も聞くことができました。  こうした配達員の方々のプライバシーが守られることは重要であり、背負うバッグに個人名を明示することまでは求めませんが、アルファベットや数字を使用した識別番号を背中のバッグに表示をして、企業側が配達員を特定することができるといった仕組みをつくることは、見られているという意識の高まりから、自転車の安全運転やルール遵守につながると思いますし、真面目にやっている方が胸を張ってフードデリバリーサービスという職業に就いていると言えるのではないでしょうか。  業界全体が悪者のように見られ、バッグの社名をテープなどで隠して配達している姿を目にすることが少なからずあります。原動機付自転車や自動二輪車には国の陸運支局に登録されるナンバーが取り付けられています。これは、危険運転やルール違反をすれば即座に所有者が特定されることもあり、自転車の配達員と比較しても法令遵守の徹底につながっていると思います。識別番号をバッグに記載することで、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の施行と合わせて、フードデリバリー配達員の事故、トラブルを防いでいくことにつながるのではないでしょうか。  配達員への識別番号掲示を実施している企業は現在一社しかないそうですが、協会全体が連携して共通の識別番号表示への取組を進めていただきたいと思います。そして、この取組は、危険運転の防止だけでなく、トラブルが続く配達員との契約更新の際にも重要な要素となり得ると思います。  そこでお尋ねいたします。  県として、配達員のルール遵守やマナーアップに向け、フードデリバリーサービス関連企業、または協会へ交通安全に関する呼びかけや意見交換を行うべきと考えますが、御答弁をお願いします。  最後に、骨髄移植等の特別な理由により免疫を失ってしまった方へのワクチン再接種について質問させていただきます。  小児がんの治療で骨髄移植などを受けると、ドナー由来の新たな血液細胞が作られるため、それまで予防接種で得られたワクチンの抗体を失うことが多くあります。ワクチンの抗体を失うと病気に感染しやすくなるため、予防接種の再接種が必要となりますが、任意での接種となるため、その費用は自己負担となります。小児がんなどの治療では、患者は長期間の入院生活や通院生活を余儀なくされ、また、付添いなどで家族が仕事を辞めざるを得なかったりすることがあります。病院が遠い場合は交通費や宿泊費も必要となり、患者とその家族には身体的、精神的のみならず、経済的にも大きな負担がかかります。  また、手術後の子供は、免疫抑制剤治療により免疫力が低下して感染症に大変かかりやすくなっており、予防接種の再接種は避けて通れません。  私は、こうした再接種の自己負担に悩まされている保護者の方や自治体と懇談をし、実情を伺ってまいりました。  日本脳炎や麻疹、風疹、百日ぜきなど、発症すると重篤化したり、後遺症を残したりするA類疾病と分別される病気については、その発生及び蔓延防止のため、小児期に定期接種が実施されており、その費用は全額公費負担で個人負担はありません。しかし、これらのワクチンを任意による自費で接種となると、一回につき六千円から一万円程度となり、これを三年から四年にかけて二十五回ほど接種すると約二十万円の費用が必要となります。  こうした問題に早くから取り組み、再接種が必要となった方への公的助成を求め、三年半前からインターネット上に署名サイトを立ち上げられた方のお話では、息子さんが二歳半のときに臓器が正常に機能しなくなるといった症状から骨髄異形成症候群となり、移植手術後も数年間にわたり入院や治療を重ねながら、自己負担で再接種を受けさせたそうです。  その後、近隣の自治体に再接種に対する助成制度があることを知り、このような地域間格差があることを多くの方に知っていただき、また、地域にかかわらず、全ての子供たちが平等に助成を受けられることを願い、現在も精力的に訴えを続けられています。私自身もこの活動を知ったことが今回の質問のきっかけとなりました。  この思いに賛同する方の数は間もなく三万五千人に届きそうです。また、同じ境遇にある方々から寄せられた声の中には、経済的支援だけでなく、行政が我々当事者に対してもっと向き合ってほしいという声が多くあったそうです。念願の助成制度が創設され、自治体へ申請に出向いても、窓口担当者の中には、ワクチンの再接種に対する認識が乏しく、制度を理解していないこともあるという残念な実態があります。制度の周知についてもさらなる努力が必要だと感じます。そして、こうした小さくても少なくても生命の危機という重大な問題に直面している声にこそ行政は耳を傾けるべきであります。  ここで、実際に白血病を患い、骨髄移植を受けられた名古屋市在住で東京パラリンピックに聖火ランナーとして参加され、報道等でも大きく取り上げられた豊永由希恵さんから直接伺った体験や御意見を紹介させていただきます。  豊永さんは、二歳のときにがんを発症されました。治療には骨髄移植が必要とのことで、当時、豊永さん一家は宮崎県に住んでいましたが、御両親が骨髄移植をするなら、全国でも圧倒的に症例が多く、環境が整っている日本一の先進県である愛知で何とか手術を受けさせたい、この強い思いから、家族と離れ、母親と二人で本県に来られました。そして、四歳のときに名古屋市中村区にある日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院で骨髄移植を受けられました。  移植は成功したものの、二十九歳となった現在も、名古屋医療センターに通院しながら、様々な症状と闘っておられます。私たちが心地よいと感じる日の光や爽やかな風も、豊永さんにとっては痛みの原因となり、自身の発する声でも頭痛が起きるそうですが、肝機能障害により鎮痛剤を飲むことができず、ただ耐えるしかないそうです。そして、ワクチンの再接種についても、当時は助成制度もなく大変な苦労をされたそうです。  先ほども述べましたが、豊永さんの周りにも、再接種について医者から案内をされ、役所へ申請に行った際に、窓口では再接種への助成制度を自分から説明しないといけないといった話をよく耳にされるそうです。そして、助成制度があることを知らずに、金銭的な理由から再接種を行っていない方もたくさんお見えになるそうです。行政に要望する余裕もない、本当に生きづらいとの切実なお訴えでした。それでも根性だけは誰にも負けないと、百三十五センチの小さな体で、現在は、瀬戸市にあります中部さい帯血バンクで、今度は御自身が誰かの命をつなぐ仕事をされています。  そこで、本県におけるワクチンの再接種費用に係る五十四市町村の助成制度について触れさせていただきます。  二〇一八年には十市だったのが、現在では五十市町村で創設され、飛躍的に前進しました。この割合は、他の都道府県と比べても非常に高く、先ほども述べましたが、小児がんや骨髄移植の症例が多く、それだけ多くの患者を抱える県内市町村の理解と問題意識の高さに、改めて感謝、敬意を表する次第であります。  しかしながら、この制度は、全額市町村負担で実施されております。つまり県からの補助はゼロということです。経済的に大変厳しい状況に置かれている家族と患者、その思いを酌み取ることができない県の対応により、より多くの市町村に負担をさせてしまっているのです。  県のホームページでも、再接種については一切記載はありません。なぜ本県がこの実情にこれまで全く向き合ってこなかったのか、理解に苦しみます。佐賀県では、県が全額を補助し、大阪府やその他の県でも、市町村に二分の一を補助するといった制度が広がっています。本来なら県がリーダーシップを取り、もっと早くに救いの手を差し伸べるべきではなかったでしょうか。  名古屋市は、平成三十年四月から事業を開始し、抗体検査などの検査料金以外の全額を助成しておりますが、その実績は、平成三十年度は十九人で、交付額は約五十九万円、令和元年度も十九人、令和二年度は十七人で約四十三万円にとどまっております。この数字を見ても、せっかくのよい制度が十分伝わっていないと感じます。  また、市町村の助成制度は、名古屋市もそうですが、多くが二十歳までを対象としています。その理由は、成人になってから接種をしてもワクチンの効果が現れにくい。予防接種を打たずに成人になった人がいないため、医学的な知見がないなどで、これらを理由に二十歳で線引きすることはある程度は理解しますが、長きにわたり適合するドナーを心待ちにしている二十歳を超えた患者がいることも事実です。  本議会としても、今年の二月定例議会において、国に対して再接種への支援についての意見書を提出しておりますが、厚生労働省の予防接種室に確認したところ、ワクチン分科会での検討に着手はしたが、新型コロナウイルス感染症への対応により現在は議論が中断している状況との回答でした。つまり、何もしていないということです。  こうしたことからも、国や市町村に対応を任せっきりにするのではなく、一日も早く全ての愛知県民が生活する市町村に関係なく、同じ条件の下でワクチンの再接種ができるような枠組みをつくり、希望を持って病と闘っていける取組を力強く推し進める必要があります。  ワクチン接種、感染症対策といった言葉を耳にしない日はありません。こうした県民のワクチン接種への関心が高まっている今こそ、再接種についても議論を深めていただきたいと思います。  そこで伺います。  骨髄移植等、特別な理由によるワクチンの再接種をする方に、県として助成制度の周知徹底、経済的な支援を行っていくお考えがあるのか。また、お考えがあるなら、どのような支援を行っていくのか御所見をお伺いし、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 51: ◯都市・交通局長(森哲也君) 初めに、コロナ禍における地域公共交通に対する支援のうち、正しい情報発信と利用促進策についてお答えします。  まず、県民の皆様に安心して公共交通機関を利用していただくためには、新型コロナウイルスの感染リスクに関する正確な情報や、交通事業者による感染防止の取組について、広く周知を図ることが重要であると認識しております。  このため、本県では、年明けに中部運輸局と連携して、感染防止対策や公共交通機関の利用を呼びかけるポスターやチラシを配布するとともに、市町村にも広報紙などを活用した情報発信を行うよう働きかけてまいります。  また、交通機関の感染対策についてのセミナーを本年一月に引き続き来年一月にも開催し、県民の理解促進に努めてまいります。  次に、利用促進策についてであります。  コロナ禍を通じてリモートワークが浸透したことを踏まえると、今後はこれまで以上に観光・レジャー目的の利用を促進していくことが重要であると考えております。  このため、これまで開催を見送ってきたリニモや愛知環状鉄道沿線でのウオーキングやスタンプラリーなどのイベントを再開することとしたほか、名鉄西尾・蒲郡線において実施するフォトコンテストや東三河におけるバスの周遊イベントといった市町村が行う利用促進の取組に対し支援を行うとともに、将来的には名古屋東部丘陵地域で実証実験を行っているMaaSなども活用して利用促進を図ってまいります。  一方、コロナ禍で増加した自動車通勤については、県内の企業、団体等に、車通勤を控え、公共交通機関による通勤を働きかけるキャンペーンの実施などを通じて、その抑制を働きかけてまいります。  次に、無人駅の増加に伴う利用者の安全性の確保についてであります。  駅員が配置されていない駅、いわゆる無人駅では、乗降客が少ない夜間・早朝時間帯における防犯上の課題のほか、車椅子を利用される方や目の不自由な方にとっては、駅員の支援が受けられないことによる安全上の懸念といった問題があります。  一方、鉄道事業者は、運賃収入で路線を維持しなければならず、利用者の少ない駅はやむを得ず無人駅にしなければならないという側面もあります。  全国的に無人駅が増加していることを受けて、国においては、障害のある方が無人駅を安全で円滑に利用できる方策の検討が行われております。この中では、列車の運休・遅延発生時における障害のある方への迅速で適切な情報提供、乗務員による携帯用スロープを活用した車椅子利用者の介助などの方策が検討され、要員配置の見直しに係るガイドラインの策定に向けた議論が進められています。  本県としては、全ての利用者にとって安全で安心できる駅であることが重要と考えており、毎年実施している鉄道事業者との意見交換会において、無人駅における利用者の安全性、利便性を確保するよう要請しているところであります。  今後、国の議論を注視しながら、関係者と課題を共有し、より一層安全で使いやすい駅環境の整備に向けて働きかけてまいります。 52: ◯防災安全局長中川喜仁君) フードデリバリーサービス関連企業や協会への交通安全に関する呼びかけ及び意見交換についてお答えいたします。  本県では、自転車事故のない安全・安心な社会の実現に向け、本年四月に施行いたしました自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例に基づき、自転車の交通事故防止に取り組んでいるところであります。  フードデリバリーサービスの自転車配達員につきましては、六月に県警察が実施した自転車講習会において、条例の周知のためのチラシを配付し、自転車の安全利用の呼びかけを行いました。  また、講習会に参加したフードデリバリーサービス企業とも情報交換を行い、自転車配達員に対し、交通ルールの遵守やヘルメット着用、保険加入の徹底を依頼したところであります。  そうした中、十月下旬、関連企業十四社が加盟する日本フードデリバリーサービス協会では、配達員の交通トラブル等の問題を自らの課題として、外部の専門家や関係省庁等の意見も取り入れた独自の交通安全ガイドラインを策定しました。  その主な内容としては、配達員の安全対策の実施、配達員に対する苦情等の相談・通報窓口の設置、危険走行を行った配達員をGPS位置情報等を基に判別して注意喚起の措置を講じることなどが盛り込まれています。  県といたしましては、県警察と連携し、今後、協会との意見交換の場を設け、県が実施する交通安全対策への理解と協力や、協会自らが定めたガイドラインの徹底を働きかけることにより、自転車配達員の交通ルール遵守、マナー向上が促進され、交通事故の抑止を図ることができるようしっかりと取り組んでまいります。 53: ◯感染症対策局長(杉原武君) 骨髄移植等の特別な理由により免疫を失ってしまった方へのワクチン再接種についてお答えします。  二〇一六年、地方分権改革に係る国への提案として複数の自治体から、骨髄移植等、造血幹細胞移植後の再接種を公費負担等が適用される定期接種の対象とするよう提案があったことから、国ではその必要性を検討しております。  また、二〇一八年一月に国が取りまとめた市町村が行う接種者への助成事例について、国からの依頼により市町村に周知を行いました。  さらに、本県では、同年七月から毎年県内の状況を取りまとめ、市町村に周知しております。その結果、本年十一月末現在では県内五十市町村が助成を実施し、残り四市町村が実施に向けて検討しております。  県民に対する助成制度の周知といたしましては、小児がんの患者・家族会に対し、助成を行う市町村のリストを提供するとともに、より広く周知をするため、県のウェブページにおいてもリストを掲載してまいります。  なお、免疫を失った方が行うワクチンの再接種への支援につきましては、費用負担の問題のみならず、健康被害が生じた場合の救済の点からも、全国一律の統一的な対応が望まれることから、国に対して定期接種の対象とするよう要請しているところです。  また、都道府県レベルでの支援事業もあることから、本県といたしましても、既に実施している他の都府県の支援事業を参考にしながら、市町村と共に検討してまいります。  今後も、ワクチンの再接種を希望される方が確実に助成を受けられるよう、幅広く周知を図り、再接種が受けやすい環境の整備に取り組んでまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 54: ◯四十番(丹羽洋章君) 本日はこれをもって散会し、明十二月三日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 55: ◯議長坂田憲治君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 56: ◯議長坂田憲治君) 御異議なしと認めます。  明十二月三日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時三十六分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...